便秘の鑑別と検査
【便秘の鑑別】
大腸がん
問診:便秘、血便、体重減少、食欲不振、嘔気・嘔吐
所見:腹部腫瘤、直腸診での腫瘤触知
検査:便潜血、大腸内視鏡
☆50歳以上で大腸内視鏡検査歴のない患者ではスクリーニング目的で大腸内視鏡施行を考慮してもよい。
腸閉塞
問診:嘔気、嘔吐の有無、腹部の手術歴、排ガスの停止
所見:腹部全体の圧痛、グル音の局所的な亢進
検査:立位の腹部レントゲン
甲状腺機能低下症
問診:皮膚の乾燥、抑うつ、嗄声、体重増加
所見:低体温、浮腫、アキレス腱反射の弛緩相の遅延
検査:TSH↑、FT4↓、CK↑
パーキンソン症候群
問診:安静時振戦、小刻み歩行、仮面様顔貌、無動
所見:動作緩慢、固縮、起立性低血圧、姿勢反射障害
検査:MRI、MIBG心筋シンチ
脳梗塞後
問診:脳梗塞の既往の有無
所見:神経症状
検査:CT、MRI
→脳梗塞患者では便秘が起こりやすいことを説明、対症療法。
高カルシウム血症
問診:食欲経過、多尿、体重減少
所見:脱水、意識障害
検査:血中Ca,PTH
薬剤性
問診:最近の薬剤の変更を聴取(抗コリン薬、三環系抗うつ薬、抗ヒスタミン薬NSAIDSなど)
過敏性腸症候群
問診:下痢と便秘を繰り返す。腹痛。排便で腹痛は軽減。
機能性
問診:排便困難感、硬い便
検査:他の疾患の除外。
→水分摂取や繊維食などでの対症療法。
☆ゴミ箱的な診断であるが原因としてはかなり多い。
☆症状が改善されているかどうか必ず再度外来でフォローする。