ピペラシリンは広域スペクトラムでも緑膿菌にしか用いられない理由
ピペラシリンはアミノペニシリンが修飾された非常に広域なスペクトラムを有するペニシリン系抗生物質。
ピペラシリンは緑膿菌に加えて、その他多くのグラム陽性菌、グラム陰性菌、嫌気性菌にも効果を有する。が、広域なスペクトラムに反して臨床現場では頻用されることはない。それはピペラシリンの代わりとなるような抗生剤はたくさんあるからである。
例えば嫌気性菌を疑ってピペラシリンをを用いなくてもメトロニダゾール、クリンダマイシン、セファマイシンなど嫌気性菌に使える薬は他にもたくさんある(グラム陽性菌や陰性菌は言わずもがな。)
また、広域スペクトラムであればその分強いというわけでもない。例えばグラム陽性球菌にピペラシリンは有効であるが、威力はアミノペニシリンの方が上である。よってアミノペニシリンが使える状況でピペラシリンを用いる理由はない。他の抗生剤と違ってピペラシリンには緑膿菌を倒すことができるので、雑魚敵を倒すためにわざわざ使って耐性を持たれてしまうわけにはいかない。よってピペラシリンは緑膿菌疑った時にだけ用いる必殺技のようなポジションなのである。