腹水の原因とその鑑別
腹水の原因について
腹水の原因は大きく分けて4つに大別される
1:血管内静水圧の上昇
2:血管内浸透圧の低下
3:腹腔内への液体流入
4:腹水の産生亢進
・血管内静水圧の上昇の原因:肝硬変、特発性門脈圧亢進症、鬱血性心不全など
・血管内浸透圧の低下の原因:ネフローゼ症候群、肝硬変、低栄養など
・腹腔内への液体流入の原因:尿漏出、胆汁漏出、腹腔内出血
・腹水の産生亢進の原因:感染症、悪性腫瘍、膠原病など
□腹水の分析
腹水の原因の鑑別には血清アルブミン濃度から腹水アルブミン濃度を引いたalbumin gradientが用いられる。albumin gradientが1,1以上の時は腹水の原因は門脈圧亢進であることが多い(肝硬変、鬱血性心不全など)。
albumin gradientが1,1以下の場合は腹膜に炎症をきたす疾患が原因であると考えられる(癌性腹膜炎、結核性腹膜炎、ネフローゼ症候群など)。
因みに
・腹水糖>100mg/dlなら結核性は否定的。
・コレステロール>50mg/dl, CEA>5.0ng/ml であれば癌性腹膜炎の可能性が高まる。
との報告もある。
□腹水の外観
腹水の色でも原因疾患を推定することは可能。教科書的には以下のように言われている。
透明・淡黄色=肝硬変、ネフローゼなど
濃黄色=肝硬変など
混濁=細菌性腹膜炎、結核性腹膜炎、癌性腹膜炎など
血性=癌性腹膜炎、急性膵炎、出血、術後など