つねぴーblog@内科専門医

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利尿薬の作用機序と使い分け

代表的な利尿薬ループ利尿薬、サイアザイド系利尿薬、抗アルドステロン薬の作用機序と副作用について解説しています。

 

1,ループ利尿薬

ヘンレのループの上行脚でNa+K+Cl-共輸送体を阻害する。ナトリウムの再吸収を阻害するので結果的に水の再吸収も抑えることができる。副作用としてカリウムの再吸収も抑制してしまうことによる低カリウム血症が有名。また、低カリウムによりインスリンの分泌障害も起こり、高血糖も生じる。また、尿酸の分泌が障害されることにより高尿酸血症になる。

また、低カリウム血症によりジギタリス中毒を引き起こす可能性がある。ジギタリスは細胞膜のNa/K ATPaseという能動輸送を阻害する抗不整脈薬である。

ジギタリスが過度に効いていると、細胞内カリウム濃度が低下した状態になる。その時にループ利尿薬によって細胞外でカリウム濃度が低下すると、膜電位が上昇して不整脈を引き起こしうる。

 

 

2,サイアザイド系利尿薬

遠位尿細管でNa+Cl-の共輸送を阻害する。ナトリウムの再吸収が抑制されることにより、水の再吸収も抑制される。Na+Cl-の再吸収を抑制することにより、ナトリウムをもっと再吸収するべくアルドステロン依存性のNa/K交換系が亢進して低K+となってしまう。また低カリウムによりループ利尿薬の副作用同様、高血糖、高尿酸血症などの副作用も生じうる。

 

 

3,抗アルドステロン薬(スピロノラクトン)

アルドステロン受容体とアルドステロンの結合を競争的に阻害する。アルドステロンはナトリウムを体内に取り込み、カリウムを排泄するはたらきがあるので、抗アルドステロン薬はその逆の結果となる。つまり、ナトリウムを排泄し、カリウムを吸収する。体内のナトリウムが少なければ、それに釣られて体内に入ってくる水の量も減るので利尿となる。前述のループ利尿薬やサイアザイド系利尿薬と違い、高尿酸血症や高血糖などの副作用はない。

 

なお、メカニズムをみても分かる通り、ループ利尿薬は作用が強力で、スピロノラクトンは弱い。ループ利尿薬には低カリウムという副作用があるのでスピロノラクトンと併用する場合が多い。