高度房室ブロックと2:1房室ブロックの違い
◯1度房室ブロック〜3度房室ブロックの違い
・1度:房室伝導が遅延してPQ間隔が伸びる
・2度(wenckbach型):PQ間隔が次第に伸びて心室への興奮が脱落するもの。PQが徐々に伸びてQRSが脱落する。危険度は低い
・2度(mobitz型):PQ間隔が伸びずに突然心室への興奮が脱落するもの。障害部位はHis束以下。危険度は高い。
・3度:心房から心室への興奮電動が完全に途絶したもの。P波とQRS波がそれぞれ無関係にリズムを刻む。補充調律が一定間隔で出現する。危険度は高い。
→つまり、2度房室ブロックのモビッツ型と3度房室ブロックは危険。
PM適応については:ペースメーカー植え込みの適応 - つねぴーblog
◯高度房室ブロックとは
2度房室ブロックの内、3:1以上の房室ブロックを全て高度房室ブロックと呼ぶ。3:1房室ブロックとはP波とQRS波の繋がりが3回に1回しかないものを言う。
(3:1房室ブロックの例(https://note-nurse.com/avb/))
3:1以上の房室ブロック、つまり4:1房室ブロックや5:1房室ブロックも全て高度房室ブロックに含まれる。2:1房室ブロックと3:1房室ブロックが混ざっている場合も高度房室ブロックとして扱われる。
高度房室ブロックの診断をする意義:高度房室ブロックはmobitz2型よりも危険な波形であり心血管イベントのリスクが高い。迷わず循環器内科コンサルト必要。
◯2:1房室ブロックとは
2:1房室ブロックはP波とQRS波の伝導が2回に1回脱落するもの。
この心電図はややこしいとこにwenckbach型とmobitz型の両方がありうる。というのも2回に一回突然QRS波が脱落していると考えればmobitz型波形であるし、P波とQRS波が伸びてしまって2回に1回QRSが脱落していると考えるとwenckbach型に相当する。
→2:1房室ブロックはmobitzかwenckbachかわからない!
ここで大事なのは臨床症状。もしも失神様(意識消失、めまい、ふらつき)のエピソードがあったらモビッツの可能性が高くペースメーカーの適応。失神様のエピソードがなければその時点ではwenchbachの可能性が高いとも考えられる。