つねぴーblog@内科専門医

アウトプットが趣味です。医学以外の事も投稿するやもしれません。名前は紆余曲折を経てつねぴーblogに戻りました

右軸偏位と左軸偏位の見方とその原因

右軸偏位と左軸偏位の違い

 

✅電気軸の概念について
心臓の興奮は洞房結節から始まり心房、心室という順に伝わる。左心室の興奮の大きさは右心室よりも大きいので全体の電気の流れとしては右心房から左心室の方向へと流れるといえる。(体の向き的には右上から左下の方向となる)

この電気の方向が正しい方向にあるかどうか調べるために電気軸、右軸偏位、左軸偏位という概念が用いられる。心電図には様々な誘導があるが、電気軸の計算をするときは横向きⅠ誘導と、下向きのaVF誘導の2つを利用する。何故この二つの誘導なのかというと角度がちょうど90度で直角なので考えやすいからである。

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✅このベクトルは心室の興奮の大きさで考えるので心電図のQRSで考える。QRSにおいて上向きの頂点と下向きの頂点の差を計算する。たとえば上に20mm、下に5mm出ていればその電気的変化は20-5=15と計算される。Ⅰ誘導、aVf誘導ともに電気的変化を上述のように計算し、グラフにプロットする。そのときの角度が0度から〜90度に収まっていれば正常である。90度よりも大きく(つまり更に計回りに)あれば右軸偏位、0度よりも小さく(反時計回りに)あったら左軸偏位となる。*I誘導とaVf誘導でなくて、Ⅰ誘導とⅡ誘導などでも同様にプロットすれば電気軸は求められる。ただ、Ⅰ誘導とaVf誘導のように90度にはならない。毎回グラフにかくのは手間がかかるが、I誘導の値がマイナスならば確実に右軸偏位であるし、Ⅰ誘導が+でaVfが−ならば左軸偏位である。このように考えるとシンプルに電気軸に関して評価することが出来る。

 

✅右軸偏位の心電図の一例

↑の心電図はⅠ誘導のQRS高さの和がマイナス、aVf誘導のQRS高の和がプラスなので右軸偏位となる。

 

○右軸偏位の原因

通常心臓は長軸が左下の方を向いているが、肺気腫の患者さんのように心臓の長軸が下向きになっている方や、右室肥大のように右室の起電力が増加している場合や左室側壁の心筋梗塞のように左側の起電力が低下している場合も右軸偏位となる。また、健常人でも胸郭の小さな女性でも正常亜型として右軸偏位となる。

その他の原因:左脚後枝ブロック、右胸心、WPW症候群(心室内の伝導パターンが変化するから)、心房中隔欠損症など

 

✅左軸偏位の一例

↑の心電図はⅠ誘導のQRS高がプラス、aVF誘導のQRS高の和がマイナスであるので左軸偏位となる。

 

○左軸偏位の原因

左軸偏位で多い理由は左脚前枝ブロックである。左脚前枝の電気伝達がブロックされると、心室の興奮は左脚後枝側から始まり、前壁領域に広がる。(下図参照)

一度下の方に伝わった電気伝導が左上の方に流れていくので、Ⅰ誘導でR波、Ⅱ・Ⅲ・aVf誘導で深いS波を生じる。

左軸偏位の他の原因:前壁心筋梗塞、アミロイドーシス、拡張型心筋症など(心筋障害によって左脚前枝ブロックが生じて左軸偏位となる)

その他、腹水貯留や妊婦などで横隔膜が挙上する場合でも心尖部が挙上して左軸偏位を呈することがある。