ST上昇型梗塞と非ST上昇型心筋梗塞の違い
心筋梗塞には心電図でST上昇するST上昇型梗塞(STEMI)とST上昇の見られない非ST上昇型梗塞(NSTEMI)とがある。単純に説明すると、虚血が心臓壁全体に至っているとST上昇型、虚血が心内膜側だけにあると非ST上昇型になる。
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◯ST上昇型梗塞
ST上昇型梗塞はある程度の大きさの冠動脈が完全閉塞かそれに血合い状態にあっていることを指す。心筋は冠動脈閉塞が、約20分程度から絵師が始まってどんどんその範囲が広がり続けるので、一刻も早い閉塞の解除が必要。理想的には病院到着から90分以内に責任病変の閉塞解除が求められる。
◯非ST上昇型梗塞(=非貫壁性梗塞、心内膜下梗塞とも)
冠動脈梗塞が心内膜に限局しているタイプ。(冠動脈の血流支配は上の図のように心外膜側を走行し、心内膜側に向かって細い枝を出しているので、上流の狭窄があると末端である心内膜側の心筋細胞が一番虚血になりやすい。)
心電図上はST低下や陰性T波が出現したりするが、全く正常なこともある(心電図正常の場合は心筋逸脱酵素上昇で診断される)。
非ST上昇型であればわずかながらにも責任冠動脈に血流が保たれているということになるのでST上昇型のような超緊急性はなくなる。救急外来的には循環器コンサルトが必要だが、PCIをするかどうかはリスク・ベネフィットを総合的に考えて判断。リスクとは造影剤腎症やカテーテルやワイヤー操作の時に血栓が末梢冠動脈に飛んでいき施工前よりも状態を悪くしてしまうなどある。
☆現場的には、ST上昇があれば循環器コンサルトすればよいが、ACSのように見えるがST上昇なく心電図がパッとしない場合の対応が難しい。
循環器内科に連絡する前の要点は3つ
病歴がACSっぽいか
最低でも15秒以上症状持続、症状に再現性がある、「痛い」というよりも圧迫感、締め付けられる感、肩や歯に放散する、冷感や嘔気を伴う、痛みの場所を指などでピンポイントで指せない
リスクファクターはどうか
・冠動脈疾患の家族歴、喫煙歴、高血圧、糖尿病、脂質異常症、慢性腎臓病
バイオマーカー値の上昇はあるか
高感度トロポニン、CK-MB、心筋由来脂肪酸
来院した時点で心筋逸脱酵素が上昇していなくてもAMIは除外できない。疑わしければ1時間後再検して高感度トロポニン上昇していないことを確認する。それで上昇していれば非ST上昇型心筋梗塞として対応する。