つねぴーblog@内科専門医

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移転しました。

フィブリノーゲン測定の意義

フィブリノゲン測定の意義

 

●まず血液凝固カスケードについて復習

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#1 新しい抗凝固薬の展望 | Expert Keynote | Clotman Press | 疾患情報エリア | イグザレルト.jp

 

フィブリノーゲンは下図のようにEドメインをDドメインで挟まれたような構造をしており、EドメインにフィブリノペプチドA,Bが結合している。フィブリノーゲン分解酵素であるトロンビンはこのフィブリノペプチドA,Bを切断し、フィブリンモノマーにする。フィブリンモノマーは重合してフィブリンポリマーになる。そしてトロンビンによって活性化された凝固因子Ⅷによってフィブリンモノマー間の架橋構造が形成されてより安定したフィブリン血栓となる。

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https://astamuse.com/ja/published/JP/No/WO1995012617

 

●フィブリノゲン高値の原因

感染症や悪性腫瘍、膠原病、手術のような炎症反応時、あるいは脳梗塞や心筋梗塞のような血栓症急性期などで上昇する。その他にも妊娠や運動後、加齢でも生理的に上昇する。

凝固系の血液検査をする場合にFDPやDダイマーと一緒にフィブリノゲンはルーチンで検査されることが多い。体で炎症反応が起きているかどうかを見るためにCRPや赤沈を測定するが、赤沈が亢進する理由の1つとしてフィブリノーゲンの上昇がある。

(何故か?→赤沈とは赤血球がどの程度の時間で沈殿するかを調べる検査である。赤血球の膜はマイナスイオンに帯電しているのでそれぞれ反発しあっているが、フィブリノーゲンは陽性に帯電しているタンパクであるので、赤血球の反発力を緩和させて凝集され連銭形成して速やかに沈殿される。)

 

●フィブリノゲン低値の原因

DIC、巨大血栓症(動脈瘤やカサバッハメリット症候群などの局所でのフィブリン血栓形成)、大量出血など凝固系の消費時。またフィブリノーゲンは肝臓で作られるタンパクなので重症肝不全でも減少する。

 

●救急外来ではDICの診断に重要

臨床的に重要なのはフィブリノゲンが異常に低い時にDICを鑑別に上げることである。前述の通り肝不全などでもフィブリノゲンは低下するが、そのような既往がない場合はDICを常に考慮する。

DICの診断基準は様々あるが、旧厚労省DIC診断基準と日本止血学会の診断基準ではフィブリノーゲンの低下が1項目として採用されている。救急外来でよく用いられる急性期DIC診断基準ではSIRS、FDP、PT-INR、血小板数の4項目が用いられているが他の診断基準同様フィブリノーゲンの低下があればよりDICを疑って良いだろう(急性期DIC診断基準の問題点は感度は高いが特異度が低いことにある)。

【DICの診断基準3つ】

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