つねぴーblog@内科専門医

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頚椎症性脊髄症と頚椎症性神経根症の違い

頚椎症性脊髄症と頚椎症性神経根症の違い(復習がてら)

 

◯頚椎症とは

頚椎椎骨や椎間板の退行性変化により椎間板の変形や骨棘形成をきたした状態。

*退行性変化とは細胞内の代謝障害による変化のことであり、結果として変性、壊死、萎縮などが起こる。

頚椎に限った話ではなく、椎間板の変形を中心とした脊椎の退行性変化が腰椎で出現すれば変形性腰椎症になる。

 

頚椎症の主な症状は慢性疼痛や可動域制限であるが、症状が特に出現しないこともある。変形が進行して脊髄を圧迫すれば頚椎症性脊髄症、神経根を圧迫すれば頚椎症性神経根症と呼ばれるようになる。

 

頸部周辺の疼痛や可動域制限は脊髄症でも神経根症でも呈する。

・脊髄症では脊髄が圧迫されているために膀胱直腸障害、四肢・体幹の感覚障害、歩行障害、手指の巧緻運動障害などが生じる。また上位運動ニューロン障害により障害部位以下の深部腱反射亢進が認められる。

・神経根症では一側上肢の筋力低下、疼痛、しびれ。また筋萎縮や線維束攣縮(fasciculation)。また、下位運動ニューロン障害が起こるので、障害部位における深部腱反射の低下が認められる。

 

◯検査・治療

単純レントゲンで椎間の狭小化、前方および後方の骨棘形成、椎体縁の骨硬化像などを認める。確定診断にはMRIが必要。

 

保存的治療としてNSAIDS、ビタミンB12製剤、筋弛緩薬など。

その他、神経ブロックや温熱療法などの物理療法がある。

脱力や膀胱直腸障害があれば手術の対象になるが、神経の圧迫を取り除く除圧術や脊椎の安定性を確保する固定術などがある。