急性大動脈解離の薬物治療で何をどれだけ使うか
大動脈解離の降圧治療で何を使うか
⭕降圧薬
・stanfordB型など手術適応のない大動脈解離の場合、一般的に最初に用いられるのはペルジピン®(ニカルジピン、カルシウム拮抗薬)
【投与例】
・管理の目標は収縮期血圧100〜120mmHg
・ペルジピン®原液を5-6ml/hr程度で開始→ガンマで言えばおおよそ2μg/kg/min相当
・血圧120以上持続する場合は1mlずつ増量、適宜調節。
・大動脈解離では血圧が高いとその分、血管に負担をかけるので解離を進行させてしまう。
・降圧薬にはカルシウム拮抗薬やβブロッカー、硝酸薬などがあるが、最初はカルシウム拮抗薬がよく用いられる。なぜなら急性期の大動脈解離治療の目的は血管の負担を取るということにある。カルシウムブロッカーは動脈を拡張させるが、静脈や心臓自体には影響を与えないので管理しやすいという利点がある。
・ペルジピンでも降圧が十分にできなければ硝酸薬(ニトログリセリンなど)の併用も開始する。
・入院翌日以降は経口降圧薬を併用して静注薬を減量していく。βブロッカー、カルシウム拮抗薬、ACEなど順に。
・また、頻脈の場合はβブロッカーを用いる。血圧が高いだけでなく、頻脈でも血管が連続的にダメージを受け続けて解離が進行してしまう。
⭕レートコントロール薬
・急性大動脈解離ではレートコントロールも重要。HR60前後にする。
・レートコントロールをする目的でβブロッカーを開始する。
・急性期はランジオロール(オノアクト)などが使いやすい。
・オノアクト点滴と同時にβブロッカーの貼付薬(ビソノテープ)などを貼り、ビソノテープの高価が出てきて頻脈が落ち着いてきたらオノアクトを減量していくという方法もある。
⭕鎮痛
・モルヒネもしくはブプレノルフィン(レペタン®)を積極的に使用。
・呼吸抑制作用があるので緩徐に静注する。
⭕安静
安静も大事。発症48時間は死亡率が高くこの間は絶対安静、絶食。
おまけ)
発症から2周間以上経過したような慢性の大動脈解離の場合は予後良好のため、状態が安定していればstanfordAでもBでも内科的治療が推奨されている。