気管支拡張の見方とその原因(signet ring sign)
CTにおける”気管支拡張”所見の見方
外から肺に取り入れた酸素を血液を介して全身に運ぶために、肺動脈と気管支は並走している。本来であれば肺動脈径と気管支径の大きさは同じようなものであるが、気管支径の方が肺動脈よりも大きくなっている場合を”気管支拡張”という(病理学的には気管支径が肺動脈径の1.3倍以上が基準)
【気管支拡張の一例】
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【signet ring=指輪の一例】
気管支拡張=指輪の指を通す部分に相当。signet ring signと呼ばれることもある。
◯気管支拡張の原因
先天的に気管支軟骨が欠損しているために気管支拡張症もあるが、多くは慢性炎症に伴う二次性である。気管支壁が感染などで炎症が起こると、気管支粘膜直下に肉芽腫が形成される。形成された肉芽腫が増大して周囲の気管支平滑筋や軟骨を破壊していく。
破壊された気管支周囲の構造はやがて再生されることになるが、もともとの状態よりも脆弱でありびろんびろんに緩んでしまう。
肺炎などの炎症でも短期間のものであれば炎症の改善とともに気管支拡張も3,4ヶ月で元の状態に治まるが、炎症が慢性的で反復して起こると不可逆的になる。
気管支拡張症が起こりやすい疾患としては反復した慢性炎症を起こしやすい慢性気管支炎、結核、びまん性汎細気管支炎などが代表的。他にも免疫力低下や繊毛運動低下などで気管支の防御機能が低下するような疾患(例えば免疫グロブリン欠損症やカルタゲナー症候群など)でも気管支拡張は起こる。気管支拡張症という疾患名は原因があまりはっきりしない気管支の炎症の結果起きている場合に呼ばれることが多く、他に気管支拡張の明らかな誘引となる疾患があればその基礎疾患名で通常は呼ばれる。