吐血による緊急内視鏡の適応
上部消化管出血患者でいつ緊急内視鏡を行うべきか。
「救急外来ただいま診断中!」(中外医学社)で紹介されている緊急内視鏡の適応は以下の通り。以下の1つでも満たせば適応。
・現在も吐血が持続している場合
・食道静脈瘤破裂の可能性がある場合(食道静脈瘤や肝硬変の既往、または食道静脈瘤を疑わせる所見がある場合)
・失神や動脈性出血のエピソードがある場合
・点滴後もHR≧100bmpの頻脈が持続している場合
上記ほど緊急でなく、採血結果を見てから判断できる場合は次のBlatchford scoreが有用
【Blatchford Score】lancet.2000 oct 14;356(9238);1318-21
◯収縮期血圧(出血量が多いと当然血圧は下がる)
100〜109mmHg:1点、90-99mmHg;2点、90mmHg未満;3点
◯血中尿素窒素(BUN)(出血すると血液のタンパク成分が消化液で酸化されてBUNが産生される)
18.2〜22.4;2点、22.4〜28;3点、28〜70;4点、70以上;6点
◯Hb(男)
;12.0〜12.9;1点、10-11.9点:3点、10点以下:6点
◯Hb(女)
10-11.9:1点、10以下;6点
◯他のリスク因子(出血が多いと代償的に脈拍は増える)
脈拍100回/min以上;1点、血便;1点、失神;2点、肝疾患;2点、心不全;2点
合計点数が0点→外来フォローでOK
1〜11点→24時間以内の上部内視鏡施行
12点以上→12時間以内の上部内視鏡施行
この根拠としてはスコアが11点以下であれば緊急内視鏡までの時間は予後に影響しなかったが、12点以上であれば内視鏡までの時間が13時間以上かかると死亡リスクが上昇しているとの報告による。
合計点数が0点であれば入院、緊急内視鏡の適応はなく後日外来での内視鏡検査で問題ない(=予後は悪くならない)。が、内視鏡をすぐに行える環境であればとりあえず消化器内科コンサルしておくのが無難と思われる。