G-CSFとGM-CSFの違い
G-CSFとGM-CSFの違い(M-CSFについても追記)
■それぞれ何の略か
G-CSFとは:顆粒球コロニー刺激因子(granulocyte-colony stimulating factor: G-CSF)のこと。
GM-CSFとは:顆粒球単球コロニー刺激因子(Granulocyte Macrophage colony-stimulating Factor)のこと。
M-CSFとは:単球コロニー刺激因子(Macrophage colony-stimulating Factor)というものもある。
上図はステップ内科学(血液・感染症)より引用
上のイラストを見ていただくとわかりやすいが、コロニー刺激因子とは各種血球の前駆細胞に働いて成熟血球細胞へと分化させる働きがある。何の細胞へと分化させるかによって必要なコロニー刺激因子は異なるのだが、M-CSFならマクロファージへ、G-CSFなら好中球という具合である。
GM-CSFはG-CSFやM-CSFよりもより上流な未分化の細胞に働いてマクロファージの元となるCFU-Mや好中球の元となるCFU-Gへと分化させる。
■肺胞蛋白症について
これに関連して…、肺胞蛋白症という病気ではGM-CSFに対する自己抗体が作られてGM-CSFの機能低下によって発症する。GM-CSFがでないとマクロファージ、その中でも特に肺胞マクロファージが作られなくなる。肺胞マクロファージは肺胞内のサーファクタントを貪食する働きがあるので、これが足りないとサーファクタントが蓄積してしまい、肺胞のガス交換が上手く出来なくなるという病態である。症状としては呼吸困難を呈する。
また、GM-CSFが足りないので肺胞マクロファージだけでなく、他の単球系や好中球への分化も抑制されてしまい、易感染性を示す。本症は自己免疫疾患であるが易感染性であるが故にステロイドの使用は禁忌であり、治療としては気管支肺胞洗浄が行われる。また、治験レベルではあるがGM-CSF投与による治療法も期待されている。