気管支洗浄と気管支肺胞洗浄の違い
気管支洗浄と気管支肺胞洗浄(BAL)の違い
気管支洗浄は気管支鏡を用いて気管支内に少量の生理食塩水を注入し、陰圧をかけて吸引する。それにより気管支内の病原体の検出や細胞診を行う。
気管支肺胞洗浄(BAL)気管支鏡を用いて大量の生理食塩水を気管支内に注入し、肺胞領域まで生食を行き届かせ、陰圧をかけて液体を回収する。それにより気管支洗浄とは違い、肺胞内の病原体、細胞分画、肺胞出血の有無などを調べることが出来る。つまり気管支領域ではなく、肺胞領域に何か問題がないか調べる時に行われる検査である。
例えば細菌性肺炎とかでもBALを行えば起炎菌の同定は可能かもしれないが、わざわざ侵襲的なBALを行わないでも喀痰を調べればわかることなので一般的には行われない。一方で喀痰などが出ないけど肺炎像があるというような間質性肺炎などの場合には有用。
【気管支肺胞洗浄(BAL)を行って何がわかるか】
BALで細胞成分を調べることによって疾患の鑑別を行うことが可能。
リンパ球が上昇:NSIP、COP、膠原病性間質性肺炎、薬剤関連性肺疾患、過敏性肺炎、サルコイドーシスなど
好中球が増加:細菌性肺炎、びまん性汎細気管支炎、ARDSなど
好酸球が増加:好酸球性肺炎、好酸球増多症候群、薬剤関連性肺疾患など
リンパ球有意であればCD4とCD8の割合でも他の疾患の鑑別も可能。
CD4>CD8であれば
→サルコイドーシス、農夫肺、結核など
CD8>CD4であれば
→夏型過敏性肺炎、薬剤関連肺炎、COPなど
【参考文献】
病気が見える呼吸器
year note
レジデントのためのやさしい呼吸器教室