つねぴーblog@内科専門医

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移転しました。

デスモプレシンの作用機序(vonwillebrand病の治療)

■vonwillebrand病の病態

 

常染色体遺伝子の異常により、vonwillebrand因子を正常に作れなくなり、血小板の血管内組織への粘着がうまくいかずに一次止血障害をきたしてしまう疾患である。

vonwillebrand因子とは血管内皮で産生され、血管のコラーゲンと血小板GP1b/を糊のように接着させる働きを持つ。更にvonwillebrand因子は凝固第Ⅷ因子に結合して凝固能を安定化させる働きがある。vonwillebrand因子の結合しない凝固第8因子は血中に安定して存在できない。その結果、内因系の障害も起こり二次止血栓の形成も不全に陥る。

 

■vonwillebrand病の症状・検査

上記の病態により、出血傾向となることにより紫斑、鼻出血、歯肉出血などを呈する。

関節内出血や筋肉内出血はまれ(凝固因子Ⅷは不安定化しているが一応は存在しているので)。

また、検査としては、

・血小板粘着能低下(出血時間延長、リストセチン凝集低下)

・血小板数は正常(粘着できないだけでちゃんと合成はされている)

・APTT延長(凝固第8因子の不安定化により)、PTは正常 

(全凝固時間は理論的には延長するはずであるが、感度は低めなので正常範囲内に留まることが多い。)

となる。

 

■治療

軽症例に対して、デスモプレシンを投与する。デスモプレシンは抗利尿ホルモン(バソプレシン)の製剤であり、血管内皮細胞から第8因子の放出を促進させる役割がある。バソプレシンは知名度的には集合管での水の再吸収で有名であるがこのような働きも有する。ただし、デスモプレシンは連続投与していると血管内皮細胞からvonwillebrand因子が枯渇するからか、効果は減少する。

重症例に対しては、vonwillebrandを含んだ第Ⅷ因子製剤の投与を行う。vonwillebrand因子のみの投与ができれば理想的であるが、未だ製剤化はされていない。また本症では血小板の粘着能が低下しているだけなので血小板輸血を行っても意味は無い。

 

*なおデスモプレシンの適応であるが、vonwillebrandのⅡB型においては血小板減少を引き起こすために禁忌であり、Ⅰ型とⅡA型が適応となる。