つねぴーblog@内科専門医

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副腎静脈サンプリングとは何か

副腎静脈サンプリングとは原発性アルドステロン症を診断するための検査である。

 

■原発性アルドステロン症とは

副腎皮質の球状層に過形成が起こり、アルドステロンが過剰に分泌される疾患である。アルドステロンは腎臓の集合管でナトリウムイオンを再吸収・カリウムを排泄する働きがあるので高ナトリウム血症による高血圧、低カリウム血症による不整脈などを生じる。

 

■原発性アルドステロン症の検査の流れ

まず、高血圧の患者の安静時の血漿アルドステロン濃度と血漿レニン活性を測定する。原発性アルドステロン症ではアルドステロンが過剰に産生されるためにネガティブ・フィードバックによりレニン分泌が抑制される。一般的に、アルドステロン/レニン比率が200以上であれば原発性アルドステロン症を疑う。

更にカプトプリル試験やフロセミド立位試験などのを行う。これらはレニン分泌を刺激するための試験であり、健常者であればレニンが分泌されるが、原発性アルドステロン症の患者では過剰に産生されたアルドステロンによりレニン分泌は抑制されており、これらの試験を行ってもレニンは低値のままである。

 

原発性アルドステロン症であることが明らかになり、更に患者が希望した場合に副腎静脈サンプリングを行う必要がある。これはアルドステロン症の原因となっている副腎腺腫がどこにあるのかを突き止めるための検査であるが、この腺腫は非常に小さいためにCTなどでは発見することが出来ない。また、CTで腺腫を見つけたとしてもそれが必ずしもアルドステロンを過剰に分泌しているものとは限らない。手術で切除する前には原因部位がどこにあるのか、片側なのか両側なのか調べる必要がある。

 

■副腎静脈サンプリングの手順としては

カテーテルを大腿静脈より挿入し、先端部を左右の副腎静脈まで進める。その状態で、ACTHを点滴投与して、アルドステロン濃度とコルチゾール濃度がどう変化するかを調べる。片側の副腎静脈のみアルドステロン濃度が上昇している場合にはアルドステロン産生腫瘍があり、両側の副腎静脈のアルドステロン濃度が上昇していれば特発性アルドステロン症と診断される。片側の病変の場合なら、副腎摘出術を行い、両側性病変の場合はスピロノラクトンやエピレレノンを用いる。これらはコルチコイド受容体拮抗薬でアルドステロンと競合する。