高アミラーゼ血症の原因
アミラーゼ高値の原因
アミラーゼとは多糖類のα1,4-グルコシダーゼ結合を切る酵素である。
血中アミラーゼが上昇する疾患とその機序をあげていく。
・腸閉塞(イレウス)
腸が閉塞すると、腸管内のアミラーゼが再吸収されるために血中のアミラーゼ値は上昇する。また、小腸の閉塞により十二指腸が拡張し、ファーター乳頭を圧迫し、膵臓の外分泌機能が障害されアミラーゼが血中に逆流することによっても上昇する。
・急性膵炎
膵実質が破壊されるため、アミラーゼが大量に血液中に逸脱し、血中アミラーゼ上昇となる。通常3〜4日で正常値に戻る。慢性膵炎では急性発作を合併すればアミラーゼ値は上昇するが、単独では上昇しないことが多い。
・腎不全
アミラーゼの約1/3は腎臓で濾過されて尿に排泄されているので腎機能が低下しているとアミラーゼがうっ滞し血中アミラーゼ高値となる。
・十二指腸潰瘍穿孔
穿孔により膵液が腸管の外に流出し、その中のアミラーゼが血中に再吸収されることによる。
・唾液腺の病変
耳下腺腫瘍、ムンプスなどにより唾液腺の障害があると唾液アミラーゼが血中に逸脱し、血中アミラーゼ高値となる。
・モルヒネ投与後
アミラーゼ上昇の説明は諸説有るが、モルヒネにはオッディ括約筋を緊張させる働きがあるため、膵臓・胆管内圧が上昇して膵液のうっ滞をきたし、アミラーゼが血中に逸脱するからと考えられている。