つねぴーblog@内科専攻医

アウトプットが趣味です。医学以外の事も投稿するやもしれません。名前は紆余曲折を経てつねぴーblogに戻りました

ALP、γGTP上昇をみたら

ALP,γGTP上昇の原因

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まずASTやALTなど肝逸脱酵素がメインで上がっているのか、それともALPやγGTPなど胆道系酵素がメインで上がっているのか、それとも両方とも上がっているのかをみる。

端的に言えば

・トランスアミナーゼ<500でALP>正常上限の3倍であれば胆道系障害パターン

・トランスアミナーゼ>500でALP<正常上限の3倍であれば肝細胞傷害

を考える。

 

◯胆道系障害パターン(胆汁うっ滞パターン)と判断したら

 

γGTPとALPの上昇に関してはASTとALTの上昇比率などのようにパターンから疾患を鑑別することは難しい。

 

1,γGTPとALPの両方が上昇している場合

◯まずは腹部超音波検査(肝外胆管の拡張や肝内腫瘍の有無を評価)

・肝外胆管の拡張があれば、MRCPなどで評価(結石や腫瘍の有無)

・肝内腫瘍があればCT、MRIによる精査

◯胆道閉塞などなければ薬剤性の可能性も考慮

◯超音波検査で異常がなければ他の稀な疾患が鑑別に挙がる

 

PBC(原発性胆汁性胆管炎)

サルコイドーシス

粟粒結核などの肉芽腫性病変

肝腫瘍などの限局性肝病変

リンパ腫などの浸潤性肝病変

アミロイドーシスなどの沈着性肝病変 

→診断がつかない場合は肝生検考慮

 

ちなみに、ALP,γGTPの上昇の仕方がある程度鑑別の参考なる(あくまで参考)

基準値の10倍以上:胆管結石、膵頭部がん、原発性胆汁性肝硬変、転移性腫瘍

基準値の3−10倍:胆汁うっ滞、肝硬変、慢性肝炎、伝染性単核球症

基準値の3倍以下:肝膿瘍、肝腫瘍性病変、うっ血肝、アミロイドなど浸潤性病変

 

2,ALPのみ上昇:

肝臓以外(骨、小腸、腎臓など)の原因、生理的上昇(血液型B、Oの分泌型)、甲状腺機能障害、小児(成長期)など

 

ALP単独で上昇している場合はほとんど肝臓以外が原因。

ALPには6つのアイソザイムがある。

ALP1上昇:胆汁うっ滞時

ALP2上昇:肝型のALP。肝疾患で上昇

ALP3:骨肉腫、悪性腫瘍の骨転移、paget病などで上昇

ALP4:肺がんなどの悪性腫瘍、妊娠後期

ALP5:肝硬変。もしくは血液型B,Oで高脂肪食後

ALP6:潰瘍性大腸炎など

 

3,γGTPのみ上昇:飲酒、アルコール性肝障害、薬剤性、脂肪肝

γGTPは肝細胞や胆管上皮細胞内に存在しており、アルコールや薬剤代謝で肝細胞ミクロソーム内のγGTPが誘導されるため飲酒者や薬物性肝障害としてγGTPは上昇する。

また、胆道系の悪性腫瘍でも上昇する(腫瘍からの産生もしくは胆汁うっ滞)。 

γGTP上昇に加えて、AST優位のアミノトランスフェラーゼ上昇やMCV高値もあればアルコール性の可能性が高まる(アルコール摂取過多による葉酸欠乏から大球性の貧血)。

薬剤性:抗てんかん薬はγGTP上昇の原因としてよく知られる。が、他の肝酵素上昇がなければ薬剤中止の必要性はない。

 

☆飲酒をやめたらγGTPはすぐに下がるのか?

健康診断などで2,3日前より飲酒を控えて検診に挑む患者もいるが、γGTPの半減期は7−10日程度と言われているので2,3日前から断酒したところでγGTPが正常化することはない。もっと長期的な気合が必要。

 

☆γGTP上昇はあるが、胆道系疾患否定的、アルコールなしの場合どう考えるか

γGTPの上昇する要因でNAFLDが知られている(=非アルコール性脂肪性肝疾患)。

つまりアルコールが原因でない脂肪肝であるが予後の悪いNASHも含まれるし、心血管イベントで死亡するリスクも高くなる。「飲酒してないのにγGTP上昇は不思議ですね」で済ましてはならない。