チェーンストークス呼吸の原因と機序
チェーンストークス呼吸(cheyne-stokes呼吸)とは…
呼吸と無呼吸を周期的に繰り返す呼吸のこと。PaCO2の変動によって呼吸の深さが変化する。
主な疾患:
重症心不全、高齢者、脳腫瘍・脳出血
メカニズム:
完全に解明されているわけではないが、次のような仮説がある。
中枢化学受容体は動脈血のPaCO2とpHの変化を感知して、延髄の呼吸中枢にフィードバックを送り、呼吸の量を調節している。健康な人であれば、このフィードバックメカニズムが即座に呼吸を調節するので安静時に呼吸の大きさや早さが著しく変化することはない。
しかし、心不全などで循環に時間がかかる場合、動脈血のPaCO2の変化が中枢化学受容体に伝わるのに時間がかかるようになる。したがってPaCO2の低下を調節しようとして呼吸の量を減らすと、次にPaCO2が上昇しすぎているという変化が受容体に伝わるのに時間がかかるため、行き過ぎてPaCO2が高くなり、今度は反対に高くなったPaCO2を下げようと呼吸の量を増やすと、PaCO2の低下が受容体に伝わるのが遅れるためPaCO2が低下しすぎるというのを繰り返してしまうのである。
予後は不良であり、心不全の患者にチェインストークス呼吸があると死亡率は上昇する。