血液検査で凝固系検査はルーチンとなるか
血液検査をする場合に凝固系の項目をルーチンでするべきなのだろうか。
否。
凝固系の項目には以下のものがある。
・PT(プロトロンビン時間)
・APTT(活性化部分トロンボプラスチン時間)
・フィブリノーゲン
・FDP
・Dダイマー
どのような場合に凝固項目を調べなければならないか簡単に列挙する。
・原因不明の出血があった場合:PTとAPTTを測定することで原因を絞ることが可能。
例えばAPTT正常でPT延長であればワルファリン内服やビタミンK欠乏を疑うなど。
必要な凝固検査→PT、APTT、血小板
・肺血栓塞栓症、深部静脈血栓症疑い:肺血栓塞栓症、深部静脈血栓症の診断にDダイマー測定が必要。PTとAPTTは診断には必要ないが、もし診断されれば抗凝固療法開始前のベースラインとして測定が必要なので事前に調べておく
必要な凝固検査→Dダイマー、PT、APTT
・抗凝固療法開始前:ワルファリンやヘパリンを使用しすぎて出血傾向とならないようにPTとAPTTをモニタリングする必要がある。
必要な凝固検査→PT(ワルファリン使用時)、APTT(ヘパリン使用時)
・DIC疑い:悪性腫瘍や敗血症、外傷などを背景に凝固系が亢進して全身に微小血栓が多発する病態。急性期DICの診断はSIRS、血小板、PT比、FDP(Dダイマーでも可)の4項目で評価される。急性期DICでは出血、腎障害、肝障害、呼吸不全、ショックなどの症状を呈する。
必要な凝固検査→血小板、PT、FDP、Dダイマー
・肝疾患疑い:肝硬変や劇症肝炎などでは肝臓で産生される凝固因子が欠乏し凝固能が障害される。PT延長、APTT延長、フィブリノーゲン低下を示す。
必要な凝固検査→PT、APTT、フィブリノーゲン
とりあえず以上