異常Q波の定義と機序(梗塞部位との関係)
異常Q波の定義と機序
異常Q波とは貫壁性の心筋梗塞に特徴的な心電図異常であり、次のように定義されている。
Q波の幅≧0.04秒(1mm)
Q波の深さ≧R波の高さ×1/4
【異常Q波の例】
画像引用:http://ishikokkashiken.com/abnomal-q-wave/
◯心筋梗塞の心電図診断において異常Q波は診断特異性がとても高い。
感度10-34
特異度96-100
陽性尤度比22(7.6~62)
陰性尤度比0.8(0.8-0.9)
◯異常Q波の出現する場所と梗塞部位にはある程度関係がある
表参照:https://www.kango-roo.com/sn/k/view/1969
◯なぜ貫壁性心筋梗塞で異常Q波が生じるのであろうか。
虚血で壊死に陥った心筋組織は起電力がなくなる。すると、心電図の電極からみて壊死に陥った組織の奥にある反対側の心室壁の起電力が優位に反映されることになる。つまり、電極からみてトータルの起電力は電極から遠ざかるように向くので、心電図としては下向きの電位(=Q波)が大きくなるのである。よって異常Q波が検出される誘導の位置に梗塞部位があるということができる。
また、心筋梗塞以外にも心筋炎、心筋症、WPW症候群、左脚ブロック、アミロイドーシスなども異常Q波の原因となることが知られている。