褐色細胞腫で起立性低血圧をきたす理由
褐色細胞腫で起立性低血圧をきたす理由
褐色細胞腫は副腎髄質細胞や傍神経節細胞などに発生する腫瘍でカテコールアミンを過剰に分泌してしまい、高血圧や代謝亢進、高血糖に頭痛などさまざまな症状を呈する疾患である。
しかし一方で、起立時に大幅に血圧が下がってしまう起立性低血圧をきたすことも知られている。これはカテコラミンの血管収縮作用で文字通り血管が細くなるので循環血症量が低下するからである。血圧=心拍出量×末梢血管抵抗という式が成り立つ。
起立すると下半身に多く血液がたまってしまうが、健常者であれば末梢血管抵抗をあげることにより何とか血圧を維持できる。しかし、褐色細胞腫の患者では元からカテコラミンで血管が収縮しておりそれ以上末梢血管抵抗をあげることが出来ない。故に起立すると血液が心臓に戻らず起立性低血圧を起こしてしまうのである。