early CT signとは何か(超急性期脳梗塞所見)
early CT signとは何か
脳梗塞の超急性期において頭部CTで認められる所見をearly CT signという。
一般的に頭部CTにおいて梗塞巣は発症6時間を過ぎてから低吸収域として認められ、鮮明にみられるようになるには24時間ほど必要である。ただし、心原性脳梗塞など広範囲の病変が存在する場合には、発症後数時間で大脳基底核や大脳皮質・髄質の境界に不明瞭化などearly CTサインを認めることがある。
early CT signの本態は細胞性浮腫に伴なう灰白質濃度の低下である。中大脳動脈M1閉塞では外側線状態動脈領域である被殻や基底核輪郭の不明瞭化、M2閉塞では島回皮質の濃度低下が見られる。皮質枝末梢の虚血による細胞性浮腫は脳回の灰白質の低吸収域化(つまり灰白質/白質コントラスト低下)として認められる。
◯early CT signの特徴
・レンズ核陰影の不明瞭化
・hyperdense MCA sign
・島皮質の不明瞭化、皮質・髄質境界の不明瞭化
・脳実質・脳溝の消失
1,レンズ核陰影の不明瞭化:レンズ核(被殻、淡蒼球)は穿通枝灌流領域で虚血に対して脆弱なため,より早期(発症後1-2時間)で輪郭が不明瞭化する.
【レンズ核の不明瞭化の例その1】
【レンズ核の不明瞭化の例その2】
Miscellaneous (Early CT sign in iscehmic stroke They are...)
2,Hyperdense MCA sign
動脈閉塞の原因になった塞栓子の凝血塊がヘマトクリット値の上昇を反映し、中大脳動脈内に血栓を反映した高吸収構造を認める。中大脳動脈の解剖を認識できていればわかる。が、高齢者のアテローム硬化性変化で動脈壁の石灰化も同じような所見になりうるので偽陽性に注意。皮質枝閉塞は中大脳動脈領域で最も起こりやすい。
Time course of ischemic stroke on non-enhanced CT. | Brain Stories
3,島皮質の不明瞭化、皮質・髄質境界の不明瞭化:
皮質の吸収値が低下し,白質との境界が不明瞭になる.島皮質はinsular ribbonとも呼ばれ,外包・前障・最外包の部位に相当。
4,脳回の腫脹、脳溝の消失:発症後3時間以降に出現。
脳溝の消失は脳回の腫脹を示すので、灰白質濃度が低下して非可逆的な血管性浮腫が出現してから生じる。比較的わかりやすいことが多い。
<正常像:参考>
C:尾状核頭部L:レンズ核IC:内包後脚I:島皮質M1-M3:中大脳動脈領域(基底核レベル)M4-M6:中大脳動脈領域(放線冠レベル)