つねぴーblog@内科専門医

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生化学的に見た食事中のタンパク摂取

生化学的な観点から見て私たち人間がタンパク質を必要とするのは何故だろうか?タンパク質は毎日の食餌に必要だ。なぜなら私たちの体は炭水化物や脂質のようにタンパク質を貯蔵しておくことが出来ないからである。子供は健康に成長するために大量のタンパク質を必要し、一方は、日常生活の生化学反応で失うタンパクを補充するという意味によってタンパク質が必要となる。よく知られていることだが、20種類のアミノ酸のうち、必須アミノ酸と呼ばれる9種類のアミノ酸は体内で合成できないので、食餌から摂取しなければならない。(必須アミノ酸は風呂場イス独り占め=フェニルアラニン、ロイシン、バリン、イソロイシン、スレオニン、ヒスチジン、トリプトファン、リジン、メチオニンという非常に覚えやすいゴロもある)

成人の一日あたりの推奨タンパク質送料は体重一キロ当たりに0、8グラムになる。例えば体重70キロの男性なら56グラム。参考までに、マクドナルドのビッグマックは25グラムのタンパク質を含んでいる。

全ての食料がタンパク質の良い供給源になるわけではない。完全なタンパク質の供給源は9種類の必須アミノ酸を毎日必要量に十分なだけ含んでいる。ほとんどの肉類や日常口にする料理はこの条件を満たすが、小麦やトウモロコシのような多くの野菜類はこれを満たさない。

菜食主義者たちはいかにも健康的そうな印象があるが、実際はそんなこともなくもっとより多くの食物をバランスよく食べて全ての必須アミノ酸を摂らなければならない。

タンパク質は食事中の主な窒素源になる。健康な成人は窒素平衡状態にある。これはつまり、毎日の窒素摂取量が窒素の排出量と等しく、変化していないと言うことである。幼児や子供、妊婦などでは窒素バランスが性の状態にあり、排出する窒素量が消費する窒素量よりも少なくなっている。これは組織が新しく出来ていると考えれば当然のことである。また一方で負の窒素バランスでは消費する窒素量が排泄する窒素量よりも少ないときに生じる。これは飢餓状態や腎臓病などの時に起こる状況である。当然望ましくない。

健康と栄養の専門家達はタンパク質摂取量の不足によって引き起こされる全ての病気をタンパク質エネルギー栄養失調(PEM)と分類している。幼児や子供は多くのタンパク質を必要とするためにこの病気になりやすい。先進国では珍しいが発展途上国では肉やミルクの供給が不足したりして頻発しているようである。成人でも9種類の必須アミノ酸のうち一種類でも不足していると栄養失調になってしまう。もちろん軽度の物から深刻な物まで様々あるが。

タンパク質欠乏性疾患が単独で見られることはまれだが、その書状には通常、ビタミン欠乏症や伝染病、飢餓状態の症状が伴う。そのような疾患にクワシオルコルがある。この病気に罹るとカロリー摂取は十分であるにもかかわらずタンパク質不足になる、。クワシオルコルに罹った子供には浮腫ができ、腎臓の肥大が生じて発育不全となる。クワシオルコルという言葉はガーナ語に由来し、「次の子供が生まれると前の子供が罹る病気」という意味である。随分と面白い由来ではあるが。(笑)クワシオルコルは離乳した子供の食餌が主としてトウモロコシやおかゆなどの高炭水化物低タンパク質食に変化するときに発病する。もう一つの疾患が栄養失調であり、これは飢餓状態の結果である。クワシオルコルと区別する他面、子供の栄養失調は筋肉の激しい衰弱や発育不全、治療に対する鈍い反応などで診断される。