脳卒中、脳梗塞、脳出血の違い
脳卒中というのは脳血管障害の総称で「脳梗塞」「脳出血」「クモ膜下出血」をひとまとめにした言葉です。脳卒中の言葉の語源としては「卒」は「卒然」のように「突然、にわかに」のような意味があります。「中」は中毒の中で「当たる、傷がつく」のような意味があります。よって脳卒中で「脳に突然傷がつく」というような意味合いになるのです。
脳梗塞とは、脳動脈の狭窄や閉塞により、本来行くべき所に血液が行かなくなり、脳組織が壊死に陥る疾患です。脳のどこでどこで脳梗塞が起こるかによって様々な症状が出ることが知られています。寝たきりの原因疾患の第一位であり、発症予防することが何よりも重要です。
脳出血は文字通り脳の血管が破裂することにより脳の中で出血することをいいます。
くも膜下出血とは脳表面の血管病変の破綻によってくも膜下腔へ出血が生じた状態をいいます。原因疾患としては脳動脈瘤が最多で、二番目に脳動静脈奇形が多いと言われています。
瞳孔と虹彩の違い
よくごっちゃにされがちだが、虹彩に囲まれた光の入り口を瞳孔という。
瞳孔とは中央の光を通す領域である(上の写真で言う黒い部分)。それを囲む茶色の領域が虹彩である。更に外側の白部は強膜でありコラーゲンで形成されていて非常に丈夫。
瞳孔が直接大きくなったり小さくなったりするわけではなく、虹彩が広がったり縮んだりする結果、瞳孔の大きさが変わって見えるのである。カメラに例えると虹彩は絞りに相当する。
こんな感じです。
「動脈血と静脈血」と「動脈と静脈」の定義の違い
「動脈血と静脈血」と「動脈と静脈」の定義の違い
動脈血とは肺に入って酸素をもらった血液のことである。つまり動脈血とは肺から肺静脈を経て左心房、左心室、大動脈を通って全身の組織に酸素を供給する。一方、静脈血とは大静脈から右心房、右心室、肺動脈を経て肺に向かう血液のことをいう。末梢で酸素を放出しているため動脈血に比べると酸素は少ない。
つまり、動脈血と静脈血は酸素を多く含んでるかどうか(=肺に向かっているかどうか)で区別している用語なのである。
一方、動脈と静脈という言葉の定義は少し異なる。
動脈とは、心臓の左心室から出て全身に行く血液をいい、静脈とは全身から心臓に戻ってくる血液のことをいう。つまり「動脈血・静脈血」という言葉が肺を基準にしているのに対し、「動脈・静脈」は心臓を基準に近づいてるかどうかで定められている言葉なのである。
肺動脈はまだ血液が酸素化されていないので静脈であり、また肺静脈は血液が酸素化されているのに静脈であるというような言葉上の矛盾が生じてしまっているのであるという点に注意が必要である。
脊髄癆の病態生理
脊髄癆(せきずいろう)の病態生理
■まずは神経梅毒について
神経梅毒とはTreponema pallidumtoiuというスピロヘータが脳や脊髄に感染することによって発症する病気である。神経梅毒は3つのグループに分けることができる。
1:無症候型神経梅毒…症状はないものの、髄液検査で以上が発見されるもの(つまりたまたま発見されるもの)
2:髄膜血管型…髄膜炎を中心とするものもしくは血管病変を中心とするもの
3:脊髄癆or進行麻痺…脳そのものを犯すもの
■脊髄癆とは何か
梅毒の炎症によって脊髄の後根と後索が萎縮する病気であるが、進行は緩慢なのでこの症状がでるまでに10年の歳月がかかる。
症状としては…
後根の炎症→数分から数時間続く電撃痛
後索の障害→深部感覚障害=Romberg徴候陽性の運動失調
自律神経障害→膀胱直腸障害
などなど
ペニシリンの登場以降梅毒は激減して現在では珍しい病気(病みえに載っていないほど珍しい…)
ホルネル症候群の病態生理
ホルネル症候群は瞳孔を支配する交感神経障害によって生じる疾患。
症状は…
1:眼瞼下垂(軽微)
2:縮瞳
3:眼瞼狭小
4:病側顔面の発汗低下
にまとめられる。
視床下部から節後線維に至るまで、交感神経遠心路のいずれの障害においてもHorner症候群を生じる。
障害される部位とその原因疾患を分類してみると…
■1次ニューロン=視床下部〜側角(脊髄中間外側核)がやられる疾患
→ワレンベルグ症候群、頸髄損傷、多発性硬化症など
■2次ニューロン=脊髄中間外側核〜(交感神経幹に入って上行)〜上頸神経節のいずれかがやられる疾患
→パンコースト症候群
■3次ニューロン=上頚神経節〜交感神経叢〜瞳孔散大筋のいずれかがやられる疾患
→内頚動脈閉塞、内頚動脈動脈瘤など(三次ニューロンは内頚動脈と併走)