心不全治療薬の使い分け〜ポンプと電気の観点から〜
1、カテコラミン
ポンプに作用するもの
α刺激薬=ノルアドレナリン
β刺激薬=ドパミン、ドブタミン
共に血圧を上昇させる昇圧薬である。
α刺激薬は細い血管を収縮させる。
β刺激薬は太い血管を開き、心臓を強く押す。
血圧=末梢血管抵抗×心拍出量で規定されるが
α刺激薬は末梢血管抵抗を強め、β刺激薬は心拍出量を増強することにより血圧を上昇させる。
☆重症になってきた場合は両方に作用のあるアドレナリンを用いる。
2、電気的に作用するもの
β刺激薬…イソプロテレノール
洞不全症候群や房室ブロックなどが適応。
注意:洞不全症候群や房室ブロックの時にドパミンやドブタミンは使わない。これらは電気的な興奮を高めずにメカニカルに心臓を強くしている。だから心筋梗塞後の心原性ショックで使える。この時に電気的興奮を強くするイソプロテレノールを用いると不整脈が起きてしまう。
ポイント:一般的に頻脈になると静脈還流量が低下して心拍出量低下で危ない。
3,ジギタリス
ポンプ的にも電気的にも両方作用する。
2つの働きがある。
1つは収縮力を強くする働き。慢性心不全に用いる。ただし心室内の狭窄のあるTOFやHOCMに対しては禁忌。
2つめは房室伝導ブロックの働き。AF,PSVTなどのrate controlに用いる。徐脈性不整脈、WPW,AF,PSVTに対しては禁忌。(AV遮断でますますkent束に伝わりやすくなる。)