つねぴーblog@内科専門医

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移転しました。

α受容体とβ受容体の違い

α受容体とβ受容体の違い

 

アドレナリン受容体にはα受容体とβ受容体のふたつのタイプがあることが1950年ごろに発見された。そののち、α受容体、β受容体にはそれぞれ更なるサブタイプが有ることが発見された。(α受容体は6種類、β受容体は3種類)

 

以下、受容体の発現部位と、それに関わる薬の紹介。

 

■α受容体について


α受容体は臨床的にはα1受容体とα2受容体の2つの分類される。

 

α1受容体の発現部位と役割


・血管平滑筋:α刺激で血管収縮する
・瞳孔散大筋:α刺激で瞳孔散大筋が収縮、すなわち散瞳する
・内尿道括約筋:収縮するので尿が蓄えられる

・α1刺激薬:ナファゾリン、フェニレフリン、ミドドリンなど
血管を収縮させることができるので、低血圧の治療薬として用いられる。また充血の改善や散瞳させることができるので眼底の検査時などにも用いられる。


α2受容体について
 発現部位はシナプス前に存在する自己受容体で、神経伝達物質遊離の調節に関与し、負のフィードバック調整に関与する。(つまりアドレナリン受容体の中でα2受容体だけがGiタンパク結合型であり、セカンドメッセンジャーを減少させる。)
末梢では血小板凝集、インスリン分泌や脂肪の分解の抑制などの働きがあり、中枢では神経活動の負のフィードバックとして働き、痛みの抑制、鎮静、ねむけなどを引き起こす。

 

・α2受容体刺激薬:メチルドパ、クロニジン、グアナベンズ
α2受容体を刺激することによって中枢性に交感神経活動を抑制し、ノルアドレナリンの分泌を抑える。末梢での血管収縮が抑えられるので、高血圧の治療薬として用いられる。


■β受容体について

β1受容体について


β1受容体は心臓の心筋や刺激伝導系に発現し、心筋を刺激して収縮力をアップさせたり、同房結節のリズムを取るのに重要な役割を果たしている。

 

・選択的β1受容体刺激薬:ドブタミン、デノパミン
心臓にだけ働くことができるので、心不全の治療薬として用いられる。

・選択的β1受容体遮断薬:アテノロール、ビソプロロールなど
心臓の心筋収縮力を低下させたり、刺激伝導系の興奮性を抑制するので不整脈や狭心症などの治療薬として用いられる。

 

β2受容体について

 β2受容体は血管平滑筋や気管支平滑筋、子宮などに発現している。それぞれともに拡張作用があり、血管平滑筋が拡張すれば血圧が低下し、気管支平滑筋が拡張すれば喘息の治療となり、子宮が弛緩すれば切迫早産を防ぐことができる。

・β2受容体刺激薬について:サルブタモール、リトドリンなど
サルブタモールは気管支拡張作用を有するのでCOPDや気管支喘息などの治療薬として用いられる。リトドリンは子宮を弛緩させるので切迫流産や早産の予防として用いられる。

β2受容体を選択的に遮断する薬はないが、
β1とβ2を非選択的に遮断する薬はある。β1は心臓に、β2は気管支に発現しているので、β1、2をともに遮断すると心機能を低下させて狭心症などの治療としては使えるが、気管支喘息の患者には禁忌となる。よって、β1を選択的に遮断する薬の方が安全性が高いといえる。

 

β3受容体について

β3受容体は排尿筋、脂肪組織に分布している。

・β3刺激薬:ミラベグロン
は過活動膀胱の治療薬として用いられ、膀胱を弛緩させることで蓄尿させることができる。その結果、蓄尿時の膀胱の収縮を抑えることができる。

 

また、脂肪組織にもβ3受容体は分布しており、アドレナリンの刺激を受けて白色脂肪組織が燃焼することができる。日本人には3人に一人はβ3受容体に変異があり、うまく熱を燃やすことができなくなるのでこれが肥満の原因の一つと考えられている。