つねぴーblog@内科専門医

アウトプットが趣味です。医学以外の事も投稿するやもしれません。名前は紆余曲折を経てつねぴーblogに戻りました

移転しました。

大腿骨頭壊死の帯状硬化像とは何か

大腿骨頭壊死とは無菌性・阻血性に大腿骨頭の壊死症である。原因としてアルコール、ステロイド、外傷、膠原病などが知られている。

 

好発部位は荷重部である大腿骨頭前上部。

X線上の特徴として壊死層の透過陰影とその周囲の帯状硬化がある。

 

病変部の組織は骨がスカスカになるので黒くなる。帯状硬化像とは病変部と健常部の境界の所に発生し、ここは通常よりも白くなるのである。

 

どのようなメカニズムで帯状硬化が起こるのだろうか。

通常ならば骨頭部で体重を受けていたが、骨が壊死してスカスカになってしまうと骨頭部で体重を受けきれなくなり、より深いところまで負荷がかかる。骨は体重がかかればかかるほど骨の産生を促進する性質があるので、結果的に骨が増えてレントゲンで白い線として写っているのである。

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写真はhttp://www7b.biglobe.ne.jp/~kcm44374/details1006.htmlさんより引用

 

診断にはもちろんMRIが有用であり、治療としては掻爬骨移植、骨切り術、人工関節置換術などがある。

骨膜反応とは何か

骨膜とは緻密骨の外側にある線維性の被膜であるが、通常はX線では写らない。しかし骨腫瘍や骨髄炎あるいは外傷などによって骨膜が刺激されて骨新生が起こるとX線上で陰影として描出されるようになる。この現象は病的であり骨膜反応と呼ばれている。

骨膜反応をみたら特に悪性腫瘍を疑わなければならない。

 

骨膜反応の種類

・骨膜肥厚:腫瘍などが骨膜を刺激してX線上で陰影として描出される。ただしこの所見では腫瘍が骨膜を突き破って浸潤している可能性は低いので骨膜内に留まっている良性腫瘍が疑われる。

 

・spicula(sunburst appearance)

腫瘍が骨膜を突き破って外部に出た場合、骨膜も反応性に腫瘍と同じ方向に成長して骨を作り出すことが有る。spiculaとは”垂直”という意味であり、元々ある骨膜に対して垂直方向に骨形成されているということを意味している。悪性腫瘍が疑われる。

 

・重層陰影(onion peel appearance)

骨膜が腫瘍により内側から持ち上げられている時に骨膜による骨新生が段階的に起きて層状に見えているもの。Ewing肉腫や悪性リンパ腫などを疑う。

 

・Codman三角

腫瘍が骨膜を下側から押して、突き破って外に出た状態。そこで骨膜下に新整骨を形成して三角にみえるもの。

 

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医師国家試験100H35より

 

腫骨骨折によるBohler角の減少とは何か

踵骨骨折とは高所からの転落などによって踵骨に外力が集中した時に生じる骨折である。踵骨は海綿骨なので潰れやすく、また腰椎圧迫骨折を伴うことが多い。

症状としては踵部の腫脹と皮下出血そして圧痛が認められる。また受傷直後から踵部への荷重が不能となる。

 

【X線による検査】

X線検査で足関節の側面像、軸写撮影に加えてアントンセン(Anthonsen)撮影を行う。アントンセン撮影とは足部の外面をフィルム上に起き、20°上方、30°後方からX線を入射する。この撮影方法でBohler(ベーラー角)を測定するわけであるが、通常20~30°であるベーラー角は踵骨骨折があると関節面が潰れるので減少し0°に近づく。

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上のイラストは交通事故110番_交通事故外傷と後遺障害さんHPより引用

 

ベーラー角とは「踵骨隆起の上端と踵骨の上方頂点を結ぶ線」「踵骨上方頂点と前距骨関節面の先端を結ぶ線」のなす角である。