大動脈弁閉鎖不全症でAustin Flint雑音が聞こえる理由
【大動脈弁閉鎖不全症(AR)とは】
拡張期に大動脈弁が閉鎖されないために血液が大動脈側から左心室側へと逆流してしまう疾患である。原因としてはマルファン症候群やリウマチ熱、大動脈炎症候群など。
イラスト:心臓にある弁が障害される病気!心臓弁膜症ってどんな病気なの? | Healthil[ヘルシル]より引用
【ARでaustin-fint雑音が聞こえる機序】
さて、本症の聴診の特徴としてとAustin-Flint雑音が認められる。
前述のとおり、大動脈から左心室へ血液が逆流するので、その血液が僧帽弁の前尖を押し上げてしまう。すると、相対的に僧帽弁が狭くなるので僧帽弁狭窄症(MS)と同じような状態になってしまうのである。故に、MSでも聴取されるのと同じ拡張期ランブル音が聞こえる。なお、左房から左室へ向かう血流が障害される音であるので心尖部で聴取される。また、ARではMSと異なり僧帽弁の硬化はないのでI音の亢進やオープニングスナップは聴取されない。
(ちなみに英語で”rumble”とはカミナリやお腹のゴロゴロ音というような低調な音という意味)↓多分ここまでの音はしないであろうが…。
写真はhttp://d.hatena.ne.jp/m-hiyama/20130726/1374803149より引用
また、大動脈弁閉鎖不全症では拡張期灌水様雑音も聴取され、これも非常に特徴的な所見である(別記事参照)。