肛門痛の鑑別と対応
肛門疾患の鑑別と対応
鑑別:肛門周囲膿瘍・痔瘻、痔核脱出、血栓外痔核、出血、裂肛など
◯肛門周囲膿瘍と痔瘻
肛門の歯状線にあるくぼみに傷がつくことで便に混じっている細菌がそこで炎症が起こり、更に炎症が波及してしまって膿になっている状態が肛門周囲膿瘍。局所の炎症反応があるため熱感、発赤、圧痛などを認める。熱発を伴うことも。膿瘍の広がりを見るためにCTやMRIが必要になることもある。
ごく小さな肛門周囲膿瘍を除き、切開排膿をするのが基本。
肛門周囲膿瘍は将来的に痔瘻になるリスクが有るため、必ず専門医でフォロー必要。
*ちなみにコントロール不良の糖尿病のある場合はフルニエ症候群の除外は必要。肛門や会陰周辺の皮下感染から急速に広がり壊死性筋膜炎に至る。
【肛門周囲膿瘍の例】
» 痔ろうの原因 | 痛くない胃カメラ・痛くない大腸カメラ | やましたクリニック公式ホームページ
◯痔核脱出
救急外来で内痔核脱出で受診する場合は嵌頓して痛みを訴えていることもある。
嵌頓していれば浮腫、うっ血で暗赤色となり強い痛みを呈する。座るのも困難。
局所麻酔薬含有のゼリー(キシロカインゼリー)を用いて患者に力を抜いてもらいながらゆっくりと戻す。
それでも嵌頓痔核の還納できない場合は外科や肛門科など専門医にコンサルト必要。
ちなみに、痔核脱出は以下のGoligher分類で3度以上であれば手術適応。
【Goligherの分類】
1度:排便時のいきみで内痔核が肛門管内に膨隆するが、肛門の外には出ない
2度:排便時のいきみで肛門の外に突出するが、いきみが終わると自然に戻る
3度:排便時のいきみで内痔核が肛門の外に出て、手で押し込まないと戻らない
4度:内痔核が大きくなり、常時脱出してしまっている状態
◯出血
肛門から出血。(バイタルが崩れるほどの出血はここでは割愛)
鑑別としては、裂肛からの出血や痔核出血、あるいは腫瘍からの出血、消化管からの出血などが挙がる。裂肛からの出血は診察ですぐに分かる上、自然に止まることが多いが、痔核からの出血の場合は出血が持続して自然に止まらないことがあるので注意。圧迫止血を行うが、止血困難な場合は手術的に止血が必要になることもある。
◯血栓性外痔核
http://blog.dr-ok.com/201310/article_1.html
肛門外に強い痛み、圧痛を伴う暗赤色の腫瘤があれば血栓性外痔核を疑う。外痔核とは、排便時の負荷等によって、歯状線より下の皮膚部分の静脈叢がうっ血してできた、いぼ状の腫れを指す。基本的には保存的な治療で改善するためNSAIDSなど消炎鎮痛薬投与で良い。が、症状強い場合は外科コンサルトして早めの血栓外痔核の除去を行う。
また追記・編集します。