肩鎖関節脱臼への対応@救急外来
肩鎖関節脱臼への対応
肩鎖関節とは
肩鎖関節は鎖骨と肩甲骨の間の関節のことで、この関節の安定性は肩鎖靱帯(肩峰と鎖骨の間)、烏口鎖骨靱帯(烏口突起と鎖骨の間)、三角筋・僧帽筋(鎖骨の外側につく筋肉)により保たれている。
画像参照:http://kotoseikeigeka.life.coocan.jp/15kensakansetudakkyu.html
【受傷機転】
肩先からの転倒、腕を内転させた状態で肩先に直接外力が加わった時などに生じる。柔道やラグビーなどの激しいスポーツや自転車による転倒などにより受診する患者が多い。
【身体所見】
肩鎖関節周囲の疼痛、腫脹、圧痛の有無。
視診により鎖骨の突出が顕著となる(転位した鎖骨が皮膚損傷を起こしていないか要確認)。
【分類】
関節のズレの程度によって1型から6型まで分類される。
Ⅰ型(捻挫):肩鎖靱帯の捻挫はあるが断裂はしていない。烏口鎖骨靱帯、三角筋・僧帽筋は正常で解剖学的に正常な位置にある。X線でも異常は認められない。
画像引用:http://kotoseikeigeka.life.coocan.jp/15kensakansetudakkyu.html
Ⅱ型(亜脱臼):肩鎖靱帯が断裂し、烏口鎖骨靱帯は部分的に損傷しているが、三角筋・僧帽筋は正常。X線では関節の隙間が拡大し鎖骨の端がやや上にずれている。
画像引用:http://kotoseikeigeka.life.coocan.jp/15kensakansetudakkyu.html、http://blogs.yahoo.co.jp/hirokkh/64915612.html
Ⅲ型(脱臼):肩鎖靱帯、烏口鎖骨靱帯ともに断裂する。三角筋・僧帽筋は鎖骨の端からはずれていることが多い。X線では鎖骨の端が完全に上にずれている。
画像引用:http://kotoseikeigeka.life.coocan.jp/15kensakansetudakkyu.html、http://blogs.yahoo.co.jp/hirokkh/64915612.html
Ⅳ型(後方脱臼):肩鎖靱帯、烏口鎖骨靱帯ともに断裂しており、三角筋・僧帽筋は鎖骨の端からはずれている。鎖骨の端が後ろにずれている、所謂後方脱臼。
Ⅴ型(高度脱臼):Ⅲ型の程度の強いもので肩鎖靱帯、烏口鎖骨靱帯ともに断裂していて、三角筋・僧帽筋は鎖骨の外側1/3より完全に外れている。
Ⅵ型(下方脱臼):鎖骨の端が下にずれている脱臼。
【治療】
治療方針はどのタイプの肩鎖関節脱臼かによって異なる。
1型、2型:鎮痛薬に加えて三角巾固定。痛みが軽快してきたら早期の関節可動域の運動を開始してもらう。1−2週間で完全に治るが2,3ヶ月は重いものを持つなどは控えてもらうように指導する。
3型:肩鎖靭帯と鳥口鎖骨靭帯に断裂があり関節の不安定性が認められる。が、最初の治療は1型2型と同じく保存的に行い、慢性疼痛や筋力低下のある患者のみ手術適応となる。(3型については未だ議論の余地あり)
4型〜6型は早期に整形外科に紹介。6型では神経障害も伴う。
また追記・編集します…。