つねぴーblog@内科専門医

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移転しました。

僧帽弁閉鎖不全症の内科的治療とフォローアップ

僧帽弁閉鎖不全症の内科的治療とフォローアップ

○一次性MRの場合(僧帽弁逸脱症など)

・慢性の重症MRの場合:外科治療が困難な場合は利尿剤やACE/ARB、βブロッカーの長期投与を考慮する。

・血行動態が不安定の場合:急性のMRの場合はコンプライアンスの低い小さな左房に対して急激な容量負荷となるため、急激な左房圧上昇を招き急性心不全となる。血管拡張薬や利尿剤による前負荷・後負荷の軽減に加え、必要に応じて強心薬投与、IABPなどのサポート。血行動態を落ち着かせてからの外科治療につなげる

・外来フォロー:手術適応にならない無症候性重症MR患者では半年から1年に1回のTTEによるフォローアップ。中等症MRでは1−2年間に1回のTTEによるフォローアップを行う。

 

○二次性MRの場合

二次性MR=拡張型心筋症や心サルコイドーシス、虚血性心疾患によるMRの場合

・特異的な内科治療は無い。一般的な心不全・遠心性リモデリングに対する治療が必要であり、神経体液性因子に対する治療が基本となる。ACE/ARBやβブロッカーは早期から使用する(推奨クラスⅠ)。

・血圧維持が重要である。左室収縮能低下例で後負荷が増大すると、左室が高度に拡大し、MRも重症化するので血圧を低めに保つことがEF低下例では重要である。

・DM合併例ではSGLT2I、CRTの適応がある場合はCRTも検討。

・外来フォロー:6-12ヶ月ごとに心エコーフォローを行う。また、ドプラーエコーによる僧帽弁流入血流速度波形のE波減衰時間は心不全例の予後と密接に関係するので検査する。

 

○心房機能性MRの場合(Af持続による心房拡大によるMR)

まずは心房細動に対する治療を行う。

薬剤治療によっても有意な機能性MR、機能性TRがあれば侵襲的な治療も考慮。心房拡大が高度でなければ洞調律化を図る。カテーテルアブレーション後に洞調律を維持できた群では左房サイズおよび僧帽弁輪の縮小の程度が大きく、心房性機能性MRが有意に改善したとの報告がある。一方で、左房拡大が明らかでカテーテルアブレーション治療でも洞調律を維持するのが難しいときは外科治療を考慮。