吐血と喀血、血痰の違い
吐血と喀血は似ている言葉であるが、医学的な定義は異なる。
端的に言うと…
吐血=消化器系からの出血
喀血=気道からの出血
である。
喀血は気管支や肺などの気道からの出血であるが、原因としては気管支動脈と肺動脈のシャントの破綻などが多い。肺への血液の混入があるので、防御的にそれを出そうとするために咳を呈し呼吸困難になることもある。また新鮮な動脈血が吐き出されるために、鮮紅色。肺で空気と混ざるために泡沫状。
一方で吐血は胃潰瘍や十二指腸潰瘍などの消化管からの出血であり、嘔吐として吐血が起こる。胃酸によって血液は酸化され、黒くなる(コーヒー残渣様)。また、pHも当然下がり酸性。
【簡単にまとめ】
喀血
症状:咳と共に喀出、胸痛、呼吸困難
性状:鮮紅色
泡沫:認める
ph:中性、アルカリ性(胃酸と混入はないので酸性にはならない)
吐血
症状:嘔吐
性状:コーヒー残渣様(消化管から出血し、胃酸により酸化されて黒くなる)
泡沫:なし
ph:酸性
*実際には喀血を飲み込んで吐血と区別できないこともある。その場合はもちろん呼吸器系、消化器系両方の精査が必要。
ちなみに、血痰とは文字通り痰に血が混ざることであり、喀血とは区別される。が、厳密な定義があるわけではなく、慣習的に3ml以下の少量であれば血痰と呼ばれることが多い。