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とある研修医の雑記帳

東京から大阪の医学部へ亡命して研修医になった人のブログ。勉強のまとめ、思いつきの考察、ちょっとした雑学などなど。アウトプットが趣味です。

FiO2とは何か。PaO2/FiO2の意味

FiO2とはfraction of inspiratory oxygeの略で吸入酸素分画(吸入酸素濃度)の意である。簡単にいえば吸気時の気体に含まれる酸素の割合ということになる。

例えば37度の室内空気はFiO2=0.21ということができる。

 

■それではFiO2は何のために用いるのか

FiO2が臨床的に用いられるのはARDSとALIの鑑別を行うときである。

ARDSとは急性呼吸窮迫症候群のことで、敗血症や肺炎、外傷、熱傷などによって透過性亢進型肺水腫となり、高度の低酸素血症をきたした状態のことをいう。ALI(急性肺損傷)とはARDSよりかは低酸素血症が軽い場合のことをいう。

 

それぞれは非常に似ており、

症状:呼吸困難、過呼吸、チアノーゼなど

検査所見:PaO2低下、AaDO2開大

などを呈する。

そして胸部レントゲン上で両側の浸潤影が認められ、尚且つ心原性の肺水腫が否定される場合にARDS、ALIを考えることになる。心原性肺水腫とは心筋梗塞や弁膜症などにより左室がポンプとしての役割を果たせなくなり、肺に水が貯留して肺水腫になるもののことを言う(文字通り、臓に因のあるもの)。心原性の肺水腫を否定するには肺動脈楔入圧をカテーテルで測定して18mmHg以下であることを調べればよい。

 

さてARDSとALIをFiO2でどう鑑別するのかというと

PaO2/FiO2≦300mmHg…この場合をALI(急性肺損傷)

PaO2/FiO2≦200mmHg…この場合をARDS(急性呼吸窮迫症候群)

 とする。

 

が、欧州の集中治療医学界でALIという言葉は使わない方針になってきている。

ALIという言葉は用いずに軽症ARDS、中等症ARDS、重症ARDSと分類する新しい診断基準である。

201<PaO2/FiO2<300で軽症ARDS

101<PaO2/FiO2<200で中等症ARDS

PaO2/FiO2<100で重症ARDS 

 

ここで少しわかりにくいのはPaO2/FiO2という単位(P/F比とも)。

 

これは酸素化の指標なのであるが、なぜPaO2をFiO2で割るのか。

まず基本的な話であるがPaO2というのは血中の酸素分圧である。PaO2が高ければ高いほど酸素化が上手く言ってるというのはわかると思うが、その時にどれだけの濃度の酸素を与えているのか(FiO2)という点も考慮しなければならない。

 

例えば・・・

FiO2=0.9の酸素を与えてPaO2=120と

FiO2=0.5の酸素を与えてPaO2=100を比較したら

どちらが良いのかは一概には言えない。

そこでPaO2をFiO2で割った比=PaO2/FiO2を酸素化の指標として用いているのである。この数値が高ければ高いほどよく酸素化されているということになる。つまり吸入酸素濃度FiO2が低いのに血中酸素分圧PaO2が高いという方が良いということである。

ちなみに大気中ではFiO2=0.21でPaO2=105TorrとするとPaO2/FiO2=500となる(おおよその正常値)