つねぴーblog@内科専門医

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アルドステロン症で糖尿病(耐糖能異常)となる理由

アルドステロン症で糖尿病となる機序

 

原発性アルドステロン症では副腎皮質からアルドステロンが過剰に分泌されることにより、集合管に作用して様々な症状を引き起こしてしまう疾患である。

アルドステロンは集合管においてナトリウムの再吸収とカリウムの排泄の役割を有している。ナトリウムの増加によって高血圧となり、カリウムの排泄が耐糖能異常を引き起こす。インスリンが筋細胞や肝臓の細胞に働く時にに、カリウムイオンの取り込みが必要なので、低カリウム血症であるとインスリンが正しく働けなくなってしまう。

インスリンは標的細胞膜上の受容体に結合し、それによって受容体はリン酸化され活性化し、細胞質内のIRS-1というタンパク質を更にリン酸化する。その後、何段階かのシグナル伝達を経て最終的にGLUT4というグルコース取り込みタンパクを細胞膜上に発現させる。すると、インスリンが作用した細胞はグルコースを取り込むことができるようになるのである。なお、GLUT4はカリウムの共輸送体なので血中のカリウムが低下しているとグルコースは細胞内に入れない。


また血症カリウム値は基準値内であっても低ければ低いほど糖尿病発症のリスクが増大するという報告もある。

 

おまけ:インスリンの分泌メカニズムについて書いておくと…

まずグルコースが血中からGLUTを通じてβ細胞内に流入する。
細胞内でグルコースが代謝されてATPが作られる。
ATP濃度が高くなると細胞膜上にあるATP感受性カリウムチャネルが閉鎖する。するとカリウムが細胞内から出て行かなくなり、負に帯電していた細胞が脱分極を起こす。
うるとそれをきっかけに細胞膜に分布しているカルシウムチャネルが開き、細胞内Ca濃度が高まり、それがゴルジ体に働いてインスリンを分泌顆粒として細胞外に運び出す。