とある内科レジデントの雑記帳

元「とある研修医の雑記帳→つねぴーblog」。アウトプットが趣味です。医学以外の事も投稿するやもしれません。

不随意運動まとめ

不随意運動の診断は最初にそれが律動的かどうか見分けるのが重要。

 

1,律動性不随意運動(一定のリズムを刻むもの)

→振戦かミオクローヌス。不随意運動の方向が一定であれば振戦、バラバラであればミオクローヌスと考えるとわかりやすい。

2,非律動性不随意運動(方向や周期、振幅が不規則なもの)

→舞踏病、バリズム、アテトーゼ、ジスキネジー

 

 

 

●振戦について(安静時振戦、姿勢時振戦、動作時振戦)

・安静時振戦:患肢を動かしていない時に出現。パーキンソン病などの大脳基底核の障害。

・姿勢時振戦:水平挙上など特定の肢位で出現。本態性振戦など。

・動作時振戦;文字を書いているときなど動いてる時に出現。これも本態性振戦。

本態性振戦では姿勢時振戦と動作時振戦を合併することが有る。姿勢時振戦と動作時振戦は小脳遠心路(小脳歯状核→上小脳橋→中脳赤核→視床)の障害。小脳は協調運動を司るゆえ。

 

●ミオクローヌスについて

不随意的かつ突発的な収縮。安静時、姿勢時、動作時いずれにも起こる。 脳の広範囲にびまん性に炎症が起きて錐体外路系の均衡が崩れた場合にミオクローヌスは生じると考えられている。小さな局所性病変では基本的に出現しない。原因としては、以下のものなど

・無酸素状態

・代謝性障害(急性腎不全、肝不全など)

・薬物中毒

・クロイツヤコブフェルト病

・多発性硬化症

・てんかん性

・頭部外傷後

・生理的ミオクローヌス(睡眠時、しゃっくりなど)

 

 

 

●舞踏病(ヒョレア)について

舞踏運動は不規則で踊っているような奇妙な不随意運動。

舌をぺろっと出す、口をつぼめる、指をピクっと動かすなど多種多様。じっとしていることが出来ずに絶えず身体を動かしている。アテトーゼも絶えず動くが舞踏病の方が動きが大きい。随意運動が障害されて食事を取ったり着替えたりもできなくなる。

原因としては…

ハンチントン舞踏病:常染色体優性遺伝で家族的に発症。

赤核障害:ウィルソン病、視床症候群、ベネディクト症候群

加齢:高齢者で特発性に出現しうる(老年舞踏病)

女性では妊娠やSLEによっても出現することが有る。

 

 

●バリズム

近位筋の突然の収縮が起こり、手足を投げ出すような最も激しい不随意運動。上肢は野球ボールを投げるような、下肢はサッカーボールを蹴るような動きになる。

責任病巣は反対側の視床下核にあり、中年以降で脳血管障害によって起こることがおおい。また著明な高血糖でも一時的に起こることが知られている。

 

●アテトーゼ

虫が這っていると形容されるようなゆっくりとした不随意運動。語源はギリシャ語の「変わりやすい」の意味。手指や足趾、舌などに出現し、一定の姿勢を維持しようとしてもたえずゆっくりとくねくねしてしまう不随意運動。舞踏様運動に比べるとゆっくり。アテトーゼは精神的なストレスで増強して激しくなると四肢末端だけでなく、体幹に近い部位、頸部、顔面にも現れて口を尖らせたり舌を出したりする。睡眠時には消失する。

原因としては核黄疸や新生児脳炎など先天的なものが多い。後天的には脳血管障害や外傷などで被殻が障害されても出現する。

 

●ジスキネジアについて

元々は向精神薬などの薬剤によって誘発された不随意運動に用いられた言葉であり、不随意運動の性状を表す言葉ではない。

ジスキネジアの例↓

・顔面部のジスキネジア:(口をもぐもぐさせたり、舌を動かしたり→口舌ジスキネジア)

・頸部体幹のジスキネジア:(斜頸や項部後屈、体幹をゆするような)

・体肢ジスキネジア(手を回内、回外させたり、足踏みしたり) 

ジスキネジアを疑ったら原因となるような薬剤を服用していないか確認する。また、高齢者であれば薬剤がなくても口舌ジスキネジアを生じうることが知られている。ジスキネジアを起こす薬としては抗パーキンソン病薬、抗てんかん薬、向精神病薬。

 

●ジストニアについて

持続的に筋収縮が起こるために身体の捻転や反復運動、姿勢異常が生じる。身体のどこにでも生じうるもので、例えば首に生じたら痙性斜頸、手なら書痙というような病名がついている。

人間は通常、身体の筋肉を動かす時にその協同筋の収縮と拮抗筋の抑制にが生じるが、ジストニアにおいては協同筋も抑制筋も同時に収縮してしまっている状態となる。協同筋と抑制筋の収縮の持続や規則性の程度によってジストニアは姿勢異常であったり、振戦やミオクローヌス用の運動であったり様々な症状を呈しうる。