つねぴーblog@内科専門医

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パーキンソン病とパーキンソン症候群の鑑別

パーキンソン病とパーキンソン症候群の鑑別

 

パーキンソン病とは安静時振戦、固縮、姿勢反射障害、無動などの特有の症状を呈する神経疾患である。病理学的には中脳黒質のドーパミン神経細胞の脱落とレビー小体の出現が認められる。

パーキンソン症候群の定義はパーキンソン病ではないが、他の疾患や薬物などによりパーキンソン病様

 

振戦:4~6Hzであり左右差がある。安静にしてると出現し、体を動かすと消失する。

固縮:特に四肢において筋緊張の亢進が認められる。(歯車様固縮:歯車のようにガクガクと抵抗を感じる。 鉛管様固縮:動かすと常に一定の抵抗を感じる。)

無動:動作緩慢となり、小刻み歩行かつ手の振りが小さくなる。麻痺があるわけではないが、巧緻運動障害を認める。声が小さくなり、また書字すると次第に字が小さくなっていく特徴がある。

姿勢反射障害:突然押されたりすると姿勢を立ち直すことが出来ずに点灯する。また前屈、前傾になる。

上記の運動症状に加え、自律神経症状、嗅覚障害なども呈する。

 

パーキンソン病と診断するには:

4大症状である振戦、固縮、姿勢反射障害、無動のうち2つ以上を認め、レボドパやドパミンアゴニストで症状が改善し、また更にその他のパーキンソン症候群を除外する必要がある。

 

以下、診断のためのツール

 

・頭部MRI

パーキンソン病では頭部MRIは正常に写る。二次性のパーキンソニズムを除外するために必要。例えばMSA-Cでは橋に十字サインが出現し、脳幹・小脳の萎縮が出現する。進行性核上性麻痺では中脳の萎縮や特有の核上性眼球運動障害を呈する。正常圧水頭症では脳室が異常に拡大する。

 

・脳血流シンチグラフィー:

これもパーキンソン病では脳血流は正常となるが、二次性のパーキンソニズムを除外するために必要。

 

MIBG心筋シンチグラフィー:

パーキンソン病では自律神経障害し、心臓の交感神経も変性、脱落するのでMIBGの取り込みが低下する。一方でその他の二次性パーキンソニズムでは交感神経の脱落は見られないので取り込みは正常である。ただし、糖尿病による自律神経障害や抗うつ薬などの薬剤でも取り込みの低下が起こるので要注意。

 

・ドーパミントランスポーターイメージング

線条体に投射する黒質ドパミン神経線維終末に存在するドーパミントランスポーターに結合する核種を用いてドーパミン繊維終末の残存度を可視化する検査法。多系統萎縮症、進行性核上性麻痺、レビー小体型認知症でも低下する。

 

 

*レビー小体型認知症との鑑別

レビー小体型認知症はパーキンソン病と似た臨床症状を呈するが、レビー小体型認知症ではパーキンソニズムよりも認知症が先行するのが特徴的である。

*前頭葉型認知症(ピック病)

パーキンソニズムに加えて認知症状、特に反社会的な言動などが特徴的である。

*薬物性パーキンソニズムとの鑑別

抗精神病薬、胃腸薬、抗うつ薬などが原因となる。薬物性の場合は症状の左右差は少ない。また、薬物を中止しても症状が消失するまで数ヶ月要することもある。