PPIの使い分け
NSAIDS胃潰瘍やピロリ菌による胃潰瘍あるいは逆流性食道炎などに対してプロトンプンプインヒビター(PPI)が用いられる。ガイドラインではそれぞれのPPIの効果に違いは無いとされており、どれを使っても問題はないがそれぞれの違いについて簡単にまとめ。
オメプラール®(オメプラゾール)
・最も古いPPI製剤。
・点滴薬あり
・肝代謝
・代謝経路にCYP2C19関与、薬物相互作用に注意
タケプロン®(ランソプラゾール)
・タケダ製薬のプロトンプンプインヒビターの略
・点滴薬あり
・肝代謝
・代謝経路にCYP2C19関与、薬物相互作用に注意
・collagenous colitis(原因不明の慢性腸管炎症により下痢を主訴とする消化管吸収機能異常を呈する疾患であるmicroscopic colitisの病理学的特徴の1つ)の高リスク薬剤として知られる
パリエット®(ラベプラゾール)
・パリエットは壁細胞のH+,K+-ATPaseに作用することで効果を発揮するがので壁細胞(Parietal Cell)からパリエットと命名
・他の薬剤と相互作用が少ない
・肝代謝
・代謝経路にCYP2C19関与せず、非酵素的に代謝される。他のPPIが効かない時はパリエットに変更すると効果が認められることがある。
・上記の理由により個人差が少ない
ネキシウム®(エソメプラゾール)
・next milleniumの略。次の1000年間使われますようにという意味
・オメプラゾールを元に作られた製剤で光学異性体の片方のみを抽出しており、CYPC19の影響を受けにくい。
・肝代謝
タケキャブ®(ボノプラザン製剤)
・カリウムイオン競合型アシッドブロッカー(P-CAB)とタケダ製薬をあわせてタケキャブと命名
・タケプロンと異なり胃酸で活性化されなくても効果発現するので即効性が有る。
・効果の発現が早い
・肝代謝
・代謝経路にCYP2C19関与、薬物相互作用に注意
まとめ
・ガイドラインではそれぞれの効果の差はないとされている。
が、
・内服できない患者には点滴薬のタケプロンもしくはオメプラール
・ワーファリンなど薬を常用薬が沢山有る人であればCYP系の影響を受けにくいパリエット
・内服で即効性を期待するのであればタケキャブ
・最古のPPIオメプラールを使うなら上位互換のネキシウムの方がよい