つねぴーblog@内科専門医

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フェンタニルとレミフェンタニルの違い

フェンタニルとレミフェンタニルの違い

 

フェンタニルもレミフェンタニルもオピオイドに分類される薬剤。

 

【オピオイドとは…】

紀元前からケシから採取されたアヘンが鎮痛薬として用いられてきた。19世紀にはいるとアヘンからモルヒネが単離され、その後オピオイド受容体に結合して薬理作用を発揮することが解明された。オピオイド受容体はGTPタンパク連結型の膜貫通タンパクであり、オピオイドが結合することによて様々な細胞応答を引き起こす。オピオイド受容体にはμ受容体、γ受容体、κ受容体などサブタイプが存在し、それぞれ薬理作用が異なってくるが、まだ解明されていない部分も多い。

 

◯レミフェンタニル(商品名;アルチバ®)

作用発現までの時間が極めて短く即効性がある。また血漿中や組織中の非特異的エステラーゼによって速やかに分解されてしまうので基本的に持続投与。血中濃度は投与中止後3−6分で50%低下すると言われている。全身麻酔の導入や維持でのみ用いられるが鎮静作用は弱いので他の鎮静薬の併用が必要。投与終了後にすぐに鎮痛作用がなくなるので術後の疼痛管理には作用時間の長い別の薬剤を用いる必要がある。

◯フェンタニル(商品名:フェンタニル®(同じ))

脂溶性が高く肝臓代謝により尿中に排泄される。鎮痛作用はモルヒネの100倍強力であるがモルヒネに比べて便秘や嘔気の副作用は少ない。レミフェンタニルは全身麻酔用の注射薬しかないが、フェンタニルは全身麻酔以外でも癌性疼痛や慢性疼痛のコントロールなどでも用いられる。注射剤の他にパッチ製剤が発売されており72時間持続して働くので服薬コンプライアンスはかなり高い。レミフェンタニルと異なり蓄積性があるので鎮痛のコントロールはやや難しい。

 

【簡単にまとめ】

フェンタニル:持続時間長め、蓄積性あり、全身麻酔以外でも疼痛コントロール目的で用いられる。

レミフェンタニル:超速攻で効く、半減期非常に短い、蓄積性なし、全身麻酔の導入、維持にしか用いられない。