つねぴーblog@内科専攻医

アウトプットが趣味です。医学以外の事も投稿するやもしれません。名前は紆余曲折を経てつねぴーblogに戻りました

腹頸静脈試験とは何か

腹頸静脈試験(肝頸静脈逆流)とは何か →abdominojugular reflux(AJR)

 

右心不全の徴候として「頸静脈怒張」がある。頸静脈怒張はベッドを45度に傾けて患者の頸静脈が胸骨角のところから頸静脈拍動の最強点までの垂直での距離が4.5cm以上であれば右心不全を考える。しかし、頸静脈怒張は実際にはわかりにくいことも少なくない。その時に有用な代理の身体所見として腹頸静脈試験(肝頸静脈逆流)がある。これは肝臓(右季肋部のあたり)を手掌で軽く圧迫して頸静脈の怒張の有無を確かめる方法。

腹頸静脈怒張のメカニズム:右季肋部を圧迫すると下大静脈が圧迫されることにより静脈還流量が減る。が、腹部を圧迫するので腹圧は上昇し、横隔膜は下がらなくなり、その分ほかの呼吸筋が頑張って広がろうとして胸腔内圧はより陰圧になる。すると、結果として上大静脈からの灌流が増える。右心不全の患者では手を離しても上大静脈からの血流をさばききれずに頸静脈怒張が継続する。

 

具体的な手順

・右季肋部や腹部正中を10秒間しっかりと圧迫する。

・患者が息こらえをしてしまわないように注意しながら、頸静脈が怒張するのを確認する。

・健常人では数秒程度で頸静脈怒張は元に戻る。(→腹頸静脈試験陰性)

・逆に頸静脈怒張が元に戻らなければ試験陽性となる(胸骨角から4.5cm以上の高さのところに拍動の最強点がありつづける)。

この腹頸静脈試験の心不全に対する感度は24−72%、特異度は93〜96%と報告されている(感度は報告によって差があるが、特異度は高いのでこの所見が得られたら心不全はあると考えて良い)。