とある内科レジデントの雑記帳

元「とある研修医の雑記帳→つねぴーblog」。アウトプットが趣味です。医学以外の事も投稿するやもしれません。

肺塞栓症に対するヘパリンとワーファリンの使い方memo

肺塞栓症の治療についてmemo(ヘパリンとワーファリンの使い方を中心に)

 

【肺塞栓症一次治療】

◯血栓溶解療法(t-PA投与):急性肺塞栓の診断が確実にされて、血行動態が不安定な重症例のみに適応(低酸素血症や右心不全がある場合)。軽症例で行うと出血の副作用のほうが出てトータルで考えると不利益が大きい。

◯塞栓摘出術:外科的に血栓を摘出あるいはカテーテルによる血管内治療。

 

【肺塞栓症二次治療】

◯未分画ヘパリン投与

初回投与量5000単位もしくは80単位/kg投与。以降、時間あたり1000〜1500単位もしくは18単位/kgを持続静注。モニタリングとしてAPTTがコントロール値の1.5〜2.0になるように投与量を調節する。APTTが3倍以上の場合は出血の副作用が増強されると考えられる。未分画ヘパリンの持続静注後は初回投与の6時間後に採血を行いAPTT測定を行う。変更があれば更に6時間後にAPTTを測定。2回連続APTTが治療域になればAPTT測定は1日一回に減らして良い。(APTTが1.5倍以上となった場合の再発率は1.6%であるのに対して、下回った場合は24.5%と非常に高いという報告もある。)

なお、出血の副作用があれば、投与中止。半減期は1時間なので速やかに効果消失。緊急を要する服用が出現すれば拮抗薬である硫酸プロタミンで中和する。(ヘパリン投与後1時間以内はヘパリン100単にに対してプロタミン1mg、次の一時間は0.5mg投与)。

 

 

◯ワーファリン投与(もしくは新規経口抗凝固薬)

肺塞栓の診断がつけばヘパリンと同時にワーファリンも開始する。ガイドラインでは未分画ヘパリンとワルファリンを同時に開始して5日以上投与した後,PT-INRが目標値に達してから24時間以上経過した時点で未分画ヘパリンを中止する方法が推奨されている。ワーファリンの初回投与量は5mg/day程度で開始。モニタリングとしてPT-INRが1.5〜2.5になるように維持量を調節。出血の副作用あれば投与中止、ビタミンK製剤投与。

*抗凝固薬の内服期間:

・危険因子が可逆的な場合:少なくとも3ヶ月継続

・特発性静脈血栓塞栓症の場合:少なくとも6ヶ月継続

・先天性凝固以上や危険因子が長期にわたり存在、複数回の再発:無期限

 

◯下大静脈フィルター挿入(永久的タイプと非永久的タイプ)

抗凝固療法が行えない、あるいは集中治療にもかかわらず再発する静脈血栓症の場合に考慮される。その他DVTに対して線溶療法を行う場合も適応になる。フィルターを下肢静脈に留置すれば下肢に深部静脈血栓があったとしても、フィルターが血栓をトラップして肺塞栓を予防できるのではないかという考えである。が、フィルター留置群と非留置群では肺塞栓症の発症率に有意差はなく、むしろフィルター留置群の方がDVTの再発率が高いという残念な報告もある模様。

 

【参考】

・肺血栓塞栓症および深部静脈血栓症の診断、治療、予防に関するガイドライン

・A clinical trial of vena caval filters in the prevention of pulmonary embolism in patients with proximal deep-vein thrombosis. Prévention du Risque... - PubMed - NCBI

・ICU実践ハンドブック

・しみじみわかる血栓止血VOL2