頸部痛と聞いて想起すべきもの
危険:クモ膜下出血、AMI・大動脈解離、頸部動脈解離、脊椎急性硬膜外血腫、細菌性脊椎炎・椎間板炎・硬膜外膿瘍、髄膜炎
準危険:亜急性甲状腺炎、咽頭後壁膿瘍・急性喉頭蓋炎、頸部帯状疱疹、石灰沈着性頸長筋腱炎、Crowned Dens Syndrome
発熱の有無で分けるとわかりやすい。
・発熱があれば→急性脊椎炎・椎間板炎・硬膜外膿瘍、咽頭後壁膿瘍、急性喉頭蓋炎、髄膜炎、石灰沈着性頸長筋腱炎、Crown Dens Syndrome、帯状疱疹など
・発熱がなければ→急性心筋梗塞、大動脈解離、頸部動脈解離、急性硬膜外血腫など
(追記)
・椎骨動脈解離
後頚部痛・後頭部痛
40〜50代の男性に最も多い
日本では椎骨動脈解離>>内頚動脈解離
スポーツの際の急な首の回旋や生体やマッサージの時の施術、咳嗽や嘔吐などが原因となりうる。
後頸部痛は解離血管と同側に生じるが、両側に生じることもある。
発症は突然の雷鳴様頭痛だけでなく、持続痛のこともある。
痛みは2/3は拍動性であるが1/3は非拍動性と言われる。
クモ膜下出血をきたす解離では意識障害を、クモ膜下出血を来さない解離では延髄外側症候群をきたすことが多い。クモ膜下出血を来さない場合では1−10日後(平均4日後)に神経症状が出現する。
【身体所見】
小脳症状の有無が大事。椎骨動脈は後方循環系なので脳幹や小脳症状が出現しうる。
めまいや解離性知覚障害(触覚は正常で、温痛覚障害あり)、球麻痺(嚥下障害、嗄声)、ホルネル徴候など
【検査】
脳血管造影が確定診断に有用であるが、MRAやCTAは侵襲が低く簡便であるためまず行われる。
・脊髄硬膜外血腫
脊髄を覆うものとして内側から軟膜、くも膜、硬膜があるが硬膜外血腫とは何らかの原因により一番外側の硬膜と脊柱管の間に血腫ができる病態。
発症頻度は10万人に0.1人と稀な疾患であるがMRIの普及で近年増えているという。
抗凝固薬内服患者や出血傾向の患者で特に疑う。
軽微な外傷、咳やくしゃみ、重いものを持ったものなどを契機に突然発症。
(脊髄静脈には静脈弁がないので咳やくしゃみのように胸腔内圧が上昇する状況において破綻しやすいという説もある。)
好発部位は下部頚椎〜上部胸椎。
頸部を動かした時に痛みが増悪
血腫ができた部位に一致した圧痛
疼痛から数時間後、脊髄圧迫により膀胱直腸障害や運動感覚障害が出現する。
(血腫は静脈性に作られるので徐々に血腫が増大して神経症状の出現に時間がかかる)
四肢麻痺や対麻痺が多いが片麻痺のこともありうる(脳梗塞と誤診されやすい)
【検査】
CT,MRI
CTでは以下のように脊髄内、脊柱管内に高吸収域として認められるが、鑑別として上がらないと見つけるのは容易ではない。
画像参照:https://www.yodosha.co.jp/rnote/gazou_qa/9784758115445_1a.html
また追記します。