とある内科レジデントの雑記帳

元「とある研修医の雑記帳→つねぴーblog」。アウトプットが趣味です。医学以外の事も投稿するやもしれません。

ピペラシリン・タゾバクタム(ゾシン®)はいつ使うか

ペニシリン系抗菌薬には

・天然ペニシリン(ペニシリンG)

・アミノペニシリン(アンピシリン、アモキシシリン)

・ウレイドペニシリン(ピペラシリン)

・βラクタマーゼ阻害薬との合剤(アンピシリン・スルバクタム、ピペラシリン・タゾバクタム、アモキシシリン・クラブラン酸)

などがある。

 

それぞれの特徴

・ペニシリンGは範囲が狭いが威力は抜群であり、レンサ球菌、肺炎球菌、髄膜炎菌などに対しては第一選択で使用される。

・アミノペニシリンは大腸菌などの陰性桿菌にまでスペクトラムが拡張されている。これらにβラクタマーゼ阻害薬をあわせた合剤であるアンピシリンスルバクタム(静注)とアモキシシリンクラブラン酸(経口)はクラブシエラ、黄色ブドウ球菌、嫌気性菌などβラクタマーゼを持つ菌にも効くので市中感染症のエンピリカルな治療に良い適応。

・そして、ウレイドペニシリンであるピペラシリンの特徴はグラム陰性桿菌のスペクトラムを更に広げ、緑膿菌にまで活性があることである。が、ピペラシリンはβラクタマーゼによって分解されてしまうので基本的にはピペラシリンタゾバクタムとしてβラクタマーゼ阻害剤との合剤として用いられる。

 

レジデントのための感染症診療マニュアル第三版によれば

ピペラシリン・タゾバクタムの適応は以下の通り

婦人科領域感染症(PID)、腹腔内感染症、皮膚・軟部組織感染症、院内肺炎(グラム染色でグラム陰性桿菌が目立つ症例)、市中肺炎(最近、入院の既往がある症例)

 

が、結局のところピペラシリンを使って叩きたい菌は緑膿菌!それ以外の菌はべつの抗菌薬で叩けるので、ピペラシリンを唯一使うのは「緑膿菌感染症が疑われた時」ということになる。

 

ちなみにピペラシリン®の効かない細菌としてはMRSAやVRE(バンコマイシン耐性腸球菌)など。ゾシンは広域スペクトラムを持つので使っておけば安心と考えてしまいそうになるが、活性(攻撃力)はペニシリンGやアミノペニシリンよりも劣る。故にグラム陽性菌が原因と判明したらピペラシリンをだらだら使用しない(耐性菌予防)。