つねぴーblog@内科専門医

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糖尿病性腎症で摂取カロリーをむしろ増やすべき理由

糖尿病性腎症で摂取カロリーをむしろ増やすべき理由

糖尿病の三大合併症として糖尿病性腎症がある。治療方針として、厳格な血糖コントロール、降圧療法、蛋白制限食がある。

 

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イラストはwebsite糖尿病ネットワークより引用

 

腎不全は上記のイラストのように5期に分類されるが、3期B(顕性腎症期後期)と4期(腎不全期)においては摂取総エネルギーは30-35kcal/kg/日と定められている。しかし第1期〜第3期前期までは25-30kcal/kg/日である。つまり重症化する方摂取カロリーを多くする必要があるのである。これは直感と反するがいったいどういうことだろうか。

 

前提的な話をするが三大栄養素として炭水化物、脂質、蛋白がある。炭水化物と脂質が完全燃焼して出来る物質はCO2とH2Oなので呼吸と尿や汗として体外に排泄することが出来る。しかし、タンパク質の場合代謝されて出来るのはCO2とH2Oだけでなく尿素も出来てしまうのである。
尿素は汗としても少しは排泄されるが、大部分は尿中に排泄される。腎臓の機能が低下すると尿素を排泄できなくなり体内にたまってしまう。尿素は体にとって毒なのでこのような状況は好ましくない。

それではどうすればよいのかというと、タンパク質の異化(つまり分解)を起こさないようにするしかないのである。そのためには摂取タンパク質の量を必要最低限にするのが第一。そしてタンパク質が本来賄っていた分のエネルギーを炭水化物と脂質から生み出さなければならない。炭水化物と脂質をとればとるほどタンパク質の異化が減少する(=タンパク質節約効果)ことが知られているので、腎不全が進行するとタンパク質の摂取量を抑えつつ、炭水化物と脂質を多めに摂取した方が良いのである。