顔面の感覚障害の分布とその障害部位について
顔面の感覚障害の分布とその障害部位
顔面の感覚は三叉神経が司る。上のイラストのように、三叉神経は三叉神経根で3つに分岐する。
・三叉神経節よりも末梢の障害であれば三叉神経各分枝の走行に一致した局所的な全感覚低下が生じる。
・範囲が広くなって顔面全体の感覚低下があるのであれば、三叉神経節より近位部の三叉神経根の障害を考える。
・顔面だけでなく、体幹や四肢を含めて全身性に半身の感覚低下があれば視床など大脳病変を疑う。
・半側顔面の触覚は正常で、温痛覚だけ障害されている場合は橋〜延髄の下部脳幹での三叉神経脊髄路の障害を考える。
・触覚や深部感覚は正常でも温痛覚だけが障害されるパターンも有る(解離性感覚障害)。深部感覚と触覚の繊維は中脳・橋に存在する神経核に入るが、温痛覚繊維である脊髄路核は延髄から一旦下行し脊髄C2まで細長く伸びて、交叉後に上行する。このため、延髄以下の障害の場合は温痛覚のみが障害されて、触覚は保たれることがある。
・ワレンベルグ症候群は延髄外側の障害が起こる疾患であるが、顔面と体幹で反対側の感覚障害が生じる理由:
まず、病側と同じ側の感覚障害は三叉神経脊髄路核の障害による。-顔面の温痛覚は三叉神経から三叉神経脊髄路を下り、その後シナプスを介し対側へ入り上行する。三叉神経脊髄路核は対側へ入るより前の経路にあるため、同側の温痛覚障害を生じる。
頸部以下の温痛覚ニューロンは脊髄に入るとそのレベルで対側へ交叉し上行する。そのため対側の温痛覚障害が生じる。
また追記します。