神経伝導路と脊髄障害のパターン
皮質脊髄路(錐体路)と脊髄視床路について
(脊髄断面の例)
画像参考:http://comedical.blog23.fc2.com/blog-entry-759.html
キホンのおさらいであるが、神経伝導路について
【皮質脊髄路】
・外側脊髄視床路:痛覚と温度覚に関する伝達
一次ニューロンは感覚受容器(皮膚)から脊髄神経節・後根を介して脊髄後角で終わる
二次ニューロンは脊髄後角からスタートし脊髄断面を交叉し、反対側の脊髄側索を上行し、延髄内側毛帯、中脳内側毛帯を介して視床で終わる。
三次ニューロンは視床から内包を通り大脳皮質の感覚野に投影される。
・前脊髄視床路:触覚と圧覚に関する伝達(以下の通り)
ちなみに錐体路は次の通り走行する。
一次運動野→放線冠→内包→中脳大脳脚→橋底部→延髄の錐体で交叉(80~85%は対側-外側皮質脊髄路、15~20%は同側-前皮質脊髄路を下行)→脊髄前角細胞の順に末梢へ下行。
脊髄病変の分布パターンとその原因
【横断性脊髄障害】
原因:外傷性脊髄損傷、腫瘍による圧迫、多発性硬化症、脊髄出血など
症状:障害レベル以下の全感覚低下、障害レベルより下の上位運動ニューロン障害、障害レベルの下位運動ニューロン障害、膀胱直腸障害
・障害部位を正確に決めるには背中で正中から2,3cm脇によった場所で痛覚検査をする。脊髄神経根の後枝の支配を受けているため、椎体の高さとデルマトームのズレが少ない。
【前方障害型】(”前方”といいつつ後索以外かなり広範囲に障害される)
原因:前脊髄動脈閉塞症候群、腫瘍や外傷による圧迫、後縦靭帯骨化症など
症状:障害レベル以下の温痛覚低下、障害レベルより下の上位運動ニューロン障害、障害レベルの下位運動ニューロン障害、膀胱直腸障害
ポイント:後索は障がいされないので深部感覚や触覚は低下しない。(触覚は後索と脊髄視床路両方を上行する)。
【後方障害型】
原因:神経梅毒(脊髄癆)、亜急性脊髄連合変性症など
症状:障害レベル以下の深部感覚低下。前方は保たれるので表在感覚は障害されない。運動ニューロン障害もなし。
ポイント:振動覚は低下、深部感覚は保たり、その逆ということもありうる(機序不明)。振動は遠くまで響くので、振動覚障害のレベルを正確に決めるのは容易ではない。
【中心部障害型】
原因:脊髄空洞症、脊髄内腫瘍
症状:障害レベルでの温痛覚低下(宙吊り型温痛覚障害)。運動ニューロン障害はないが、病変が前角や側索に及んだ場合は当然影響を受ける
ポイント:中心管の腹側の灰白交連は脊髄視床路に合流する繊維が横断するので、障害されると髄節性に温痛覚は障害され、深部感覚は保たれる。
【半側障害型】
原因:brown-sequard症候群など
症状:障害レベルの同側の全感覚低下、障害レベルより下の同側の深部感覚低下、障害レベルより下の反対側の温痛覚低下、障害レベルより下の同側の上位運動ニューロン障害、障害レベルより下の反対側の温痛覚低下