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とある研修医の雑記帳

東京から大阪の医学部へ亡命して研修医になった人のブログ。勉強のまとめ、思いつきの考察、ちょっとした雑学などなど。アウトプットが趣味です。

ITPの治療でピロリ菌の除菌を行う機序

なぜ? 血液

ITPの治療でピロリ菌の除菌を行う機序

 

ITP(特発性血小板減少性紫斑病)では免疫学的機序により血小板の破壊亢進がおこり、血小板減少と出血傾向をきたす疾患である。

ITPの一般的な治療として、副腎皮質ステロイドを用いて免疫の活性化を抑制して血小板破壊を抑える。それでも効果がない場合は脾臓を摘出して抗体の結合した血小板が脾臓で破壊されないようにする。これらが従来のITP治療のスタンダードであったが、近年ではこれら従来の治療方法に加え、ピロリ菌陽性患者にはピロリ菌除菌を行うという新しい治療が試みられている。

この理由は単純で、ピロリ菌の抗原は血小板の抗原と共通しているからと考えられている(特にピロリ菌の分泌タンパクであるCagAが注目されている)。つまり、自己の免疫系がピロリ菌にそっくりな形をしている血小板抗原を誤って攻撃してしまっているのである。
効果のほどであるが、除菌成功例のうちの60%以上が血小板数が5万以上に維持され、また20%近くが血小板15万まで回復したとの報告もある。ピロリ菌除菌はステロイドよりも効果があるうえに、副作用も少ないことから今後はピロリ菌陽性患者における治療の第一選択となる可能性がある