つねぴーblog

元「とある研修医の雑記帳」。アウトプットが趣味です。医学以外の事も投稿するやもしれません。

心筋梗塞でST上昇するメカニズム

急性心筋梗塞で心電図STが何故上がるのか。

 

障害部位では細胞が壊れイオンが漏出しやすい状態になる。

イオン漏出の状態は正常な電気刺激よりも前に、障害部位の心筋細胞に部分的な脱分極を引き起こし、電気的にプラスの状態にさせる。電流はプラスからマイナス方向に流れるので、障害部位から離れていくような電流(=障害電流)を生じさせ、心電図の基線を下方にシフトさせる。基本的なことではあるが、見ている側に近づく電流は心電図で上昇し、遠ざかる電流は低下として記録される。

 

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心電図の誘導から遠ざかるように電気が流れる。

 

心電図は絶対的な電位を反映しているのではなく、あくまで相対的なものなので基線全体が下にシフトしてもそれは感知できない。刺激に続き、心臓全体が完全に脱分極すると電位はゼロになるが、異常に下にシフトしていた基線に比べて上側に記録される。脱分極している時だけ心電図上で上昇している=ST上昇として記録されるのである。

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つまり、急性心筋梗塞ではST上昇しているというよりも、他の部位が下にシフトして、ST部分だけは0なのでSTがあたかも上昇しているかのような心電図に見えるということである。