つねぴーblog

元「とある研修医の雑記帳」。アウトプットが趣味です。医学以外の事も投稿するやもしれません。

Barre徴候の検査法とその機序

バレー徴候とは何か(Barre's sign)

 

中枢性の運動障害、つまり上位運動ニューロンの障害(錐体路障害)による片側性の軽い運動麻痺のスクリーニング方法である。脳出血や脳梗塞などで上位運動ニューロンに障害が生じるとバレー徴候陽性となる。尚、軽度の上位運動ニューロン障害では筋力低下が目立たずによほど注意深く観察しなければわからないが、Barre徴候では鋭敏に錐体路障害を検出することが可能である。

バレー徴候の検査には上肢と下肢の2つがある。

 

上肢の検査法

1:両手を前に伸ばして指を付け、手のひらを上にむけてもらう。

2:両目を閉じてもらい、そのまま手を下ろさないように伝え、観察する。

健常な人なら姿勢を維持できるが、錐体路に障害がある場合、腕が回内しながら下降してくる。

尚、上肢のバレー徴候は錐体路障害だけでなく、深部感覚の異常やヒステリー性の麻痺によっても出現する。ただ、錐体路障害の場合はゆっくりと回内しながら下降するのに対し、ヒステリー性の場合はパタンと急速に落下することがある。

 

 

下肢の検査法

診察ベッドにうつ伏せになってもらう。両膝関節を両側が接しないように90度、または45度曲げてもらう。その状態を維持するように伝え、観察する。健常なら姿勢を維持できるが、錐体路障害のある患者では麻痺側の下腿が下降する。

 下肢のBarre徴候は軽度な錐体路障害でも検出することができるので有用であるが、それ以外にも下肢の末梢神経性の障害、または筋力の低下や深部感覚の異常によっても下腿は落下して陽性となってしまう点に注意。

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バレー徴候の機序:

何故錐体路障害があると下腿が下降するか。上位運動ニューロン障害による筋力低下では腸腰筋や大腿屈筋が他の筋肉よりも機能低下しやすいことが知られている。また、それに加えて拮抗しあう伸筋と屈筋の筋緊張のバランスが崩れることも寄与している。

上肢のバレー徴候においても同様で、筋力低下に加えて拮抗筋群間のトーヌスのバランスが崩れることによって上肢の落下や回内が出現しているとかんがえられる。。臨床的に筋力低下が目立たなくとも、錐体路障害によって例えば前腕回内筋のトーヌスが亢進すれば手の回内が生じることの説明となる。

 

参考文献:

診察と手技が見える

神経症候学を学ぶ人のために