つねぴーblog

元「とある研修医の雑記帳」。アウトプットが趣味です。医学以外の事も投稿するやもしれません。

読書:極限環境で生きる生物のメカニズム

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「極限環境の生き物たち」メモ+α

極限環境の生き物たち ?なぜそこに棲んでいるのか? (知りたい!サイエンス)

極限環境の生き物たち ?なぜそこに棲んでいるのか? (知りたい!サイエンス)


極限状態、例えば温泉の中、海底、塩湖など人間がとても生きては居られないような環境下においても微生物というのは存在している。高熱菌というのはそのうちの一つであるが、文字通り、高熱になっても死なない。その他人間などの動物が高熱になると死んでしまう理由の一つとして(人は42度以上の体温になると死ぬと言われている)蛋白質の変性がある。蛋白質というのは複雑な立体構造をしているが、ばらばらにならないように内部で水素結合でしっかりと固まっているのである。しかし、高温になるとこの水素結合が切断されて、立体構造を保持できなくなり、機能しなくなってしまうのである。しかし、高熱菌の産生する蛋白質の場合、タンパク構造を維持するための水素結合の数が人間よりもずっと多いのである。であるから、100度以上の環境下でも生き延びることが出来る(尚、この高熱菌の酵素を利用した研究なども盛んである)。


そんな極限環境下に住む微生物ってほんとうにすごい、と思ってしまうが実は人間自体も極限環境微生物の末裔であることを忘れてはならない。地球はご存じの通り何度も完全凍土(スノーボールアース)となり全土が厚い氷に覆われた氷河期を繰り返してきた。そのたびに地上で幅をきかせている生物が絶滅して氷の下で密かに生きていた微生物が生き残り、凍土終了と同時に大繁栄したのである(因みにこの過程は4、5回繰り返された。たしか)。その進化の延長線上に、サルや人間がいる。



望遠鏡も顕微鏡も十六世紀にメガネ職人がつくった。フックの始めて発見したコルクの細胞。コルクは樹木の木肌から作りますが、組織の後が綺麗に残る。でもそれは細胞ではなく、植物細胞の抜け殻、細胞壁であったと言われている。

コッホの寒天培地:コッホは微生物を培養する際に寒天を用いてこれが非常に好評を得たが、寒天なんてもともとヨーロッパには存在しなかったらしい。かつては東南アジアの一部の国にしか存在せず、知り合いの外交官がジャワ島に勤務していて、現地人との交流で寒天を使ったお菓子を学んでいた。科学の歴史というのは偶然に左右されている良い例。



目に見えない生物が微生物と定義。多細胞生物はいずれも大量に細胞を持っているので、微生物イコール単細胞と線引き出来る。クロストリジウム族には破傷風などを引き起こす危険な菌もいるがバイオエタノール生成などに役立つ菌もいる。



■細菌には細胞壁というものが細胞を取り囲んでいるために、浸透圧によって細胞の体積が増大しても破裂せずにすむが、抗生物質を投与すると最近の細胞壁の合成がストップするために細胞膜が破けて死んでしまう。一方、人間はなぜ細胞壁が無くても大丈夫なのかというと、細胞の中に細胞骨格という蛋白質が備わっており、これらが細胞の形がむやみに大きくならないように保ってくれているのである。


■テルモステルフモフィルスという生物を使って一個ずつ遺伝子を削っていき、最小の数の遺伝子で生存できる生き物を作ろうという試みがある。

■塩分濃度の高い湖などに住んでいる好塩細菌などは細胞内も外界と同じだけの塩分濃度にしておく場合と、アミノ酸や糖分など害にならないものを細胞内に蓄積して浸透圧を保っているものなどがいる。


■好塩細菌の細胞膜からバクテリオロドプシンという膜タンパクが単離された。バクテリオロドプシンにはいくつかサブタイプがあるが、そのなかでもセンサリーロドプシンという蛋白質は赤い光を認識してその方向に遊走する。逆に青い光とは出来るだけ離れようとする。これは紫外線から逃げてDNAを守るという合目的な意味合いがある。動物の目の中にあるロドプシンはこの微生物のバクテリオロドプシンから進化したものであるという可能性がある。


■水温三度から四度という非常に低い温度に置いて生きている低温エビという物が存在する。この動物の酵素の至適温度が非常に低いのでいきていくことができるのである。また、この酵素を利用して冷凍食品の分野等に応用されたりしている。更に水温が0度以下の海水で生息している生物が居るというから驚きである。海水は凝固点降下によって氷点下になっても凍らないが、細胞内の水は凍ってしまうはずである。それをどのように防いでいるのだろうか。
その秘密は氷の形成過程にあるのだが、氷が出来るときにはまず核となる氷分子が出来、そこに水が集まって大きな氷となるのである。しかし、それを防ぐ動物では凍結防止ペプチドというものをもっており、氷の核が出来てもそこに結合して氷が大きくならないようにしているのである。なんとも凄い仕組み。。


■他の極限微生物の中には放射線耐性菌なんというものもいて例えばデイノコッカスなんかが良い例である。ラジウム泉やラドン泉にいる。

これらは人の致死量の1500倍もの放射線を浴びなければ死なないという非常に強い体性を持つ。一体何故このような強さを持っているのかというと、他の動物に比べてDNA修復酵素の量が大幅に大きいようである。他の動物も修復酵素自体は持っている物の、紫外線や放射線を浴びると修復が追いつかずにDNAに傷がついてしまうのである。しかし、デイノコッカスのここまでの放射線耐性は修復酵素の量が多いというだけでは説明がつかないとも思える。他にまだ知られていない未知の修復メカニズムや防御機構があるのだろうか。

■ビールの泡はビール酵母が吐き出した二酸化炭素である。
極限微生物というと普通は単細胞を考えるが、例外的に動物でも極限生物というのは存在する。
その最たる物がクマムシと呼ばれる昆虫のような生き物である。
クマムシは水分がなくなると感想状態になるが、再び水を与えると蘇生する事が出来る。微生物なら日常茶飯事なこのスキルも動物レベルでは非常に希有である。
最長乾燥時間記録は9年だとか。。。

そして感想状態はもちろんの事、150度という高温、更には氷点下にも耐えられて、更に人間の致死量の1000倍の放射線にも耐えられるのだとかby NASA

一番の疑問はクマムシが進化の過程で何故このような能力を身につけたのか。一体なぜこんな耐性を持つ必要があったのか。もしかして地球外生命体?笑


■ふっくらしたパンにも極限微生物が関わっている。焼く前の記事を発行させているからパンもれっきとした発酵食品である。有名な話ではあるが。
あのふっくらした矢荒開館時は酵母が糖分を分解するときにアルコールと一緒に放出される二酸化炭素ガスを利用して内部を穴だらけにして焼き上げる事で生み出される。因みに焼くときにアルコールは蒸発するので酔っぱらう事はない。当然。


■窒素は大気中の8割を閉めている物の二酸化炭素のようにそのまま利用できる生物はいない。(少ない?)
窒素固定を行ってアンモニア等の窒素化合物にして体内に取り込むのである。この過程で非常に有名なのが根溜菌である。これは植物の根っこに寄生して共生関係にある。進化の過程でどのようにこのような寄生が生まれたのだろうか。
また、根瘤菌に頼らなくても独自で窒素をアンモニウムイオンに変換する酵素ニトロゲナーゼを持つ原核生物も居る。そうでな植物の場合は、自分の排出したアンモニウムイオンを利用できないので土壌中に居る亜硝酸細菌や硝酸細菌などが亜硝酸イオンや硝酸イオンに変えてくれた物を取り込んでいる。


因みに窒素固定という関門をクリアできれば植物は育ってくれるが、それを人工的に行っているのが化学肥料である。アンモニアを科学の力で合成し、硫酸と結合して中和している物である。